プロジェクト概要

プロジェクト名

生活習慣病対策プロジェクトフェーズ2

対象国名

フィジー

署名日(実施合意)

2021年9月27日

協力期間

2022年4月20日から2026年4月19日

相手国機関名

保健医療サービス省(MOHMS)

背景

フィジー共和国では、糖尿病や心血管疾患など非感染性疾患(以下、「NCDs」)に起因する死亡や障害は増加傾向にあり、感染症からNCDsへの疾病転換が急速に進んでいます。2016年に発生した死亡の内、84%以上がNCDsによるものと推計されており、循環器疾患、糖尿病、悪性腫瘍が死因の上位を占めてます(WHO、2016年)。また、呼吸器疾患をはじめ、喫煙、運動不足、不健康な食事、過度の飲酒といったNCDs発症のリスク因子は、未だ多くの住民にとって課題となっています。
フィジー政府の中期及び長期における「国家開発計画(2017-2021及び2017-2036)」において、NCDsは重要な保健課題として言及されており、特に生活習慣、食事、運動等の予防対策の重要性が指摘されています。また、当国保健省は、「年間実施計画2020-2021」、「国家戦略計画2020-2025」等の策定を通じて主要NCDsの有病率や危険因子の低減等を目指しており、予防・治療に対する更なる取組強化を謳っています。
JICAは、同国のNCDs対策を強化することを目的に、2015年から5年間、本プロジェクトのフェーズ1である「生活習慣病対策プロジェクト」を実施し、動機づけ面接法(以下、「MI」)の習得を通じた医療従事者の能力強化を中心に支援しました。フェーズ1では、フィジーの中部地域にて支援を展開し、保健省年間実施計画2019-2020へ反映されるなど一定の貢献を果たしました。また、MIはNCDsだけでなく既存のカウンセリング(家族計画カウンセリングや低栄養・過栄養児のための栄養カウンセリングなど)への応用など、他の健康課題に対する医療従事者の対応能力の強化にも貢献し、同時にカウンセリングを受けた患者の保健サービス満足度やヘルスリテラシーの向上にもつながりました。フェーズ1では、MIの導入やウェルネスクリニックシステム(健診結果のフォローアップシステム)の提案、職場健診が試行的に実施されたものの、ウェルネスクリニックシステムの包括的な体系化や職場健診の本格実施には至りませんでした。また、フィジー政府の予算措置、医療従事者の確保等の課題もあり、国家レベルのシステムとして根付かせることが出来ず、支援効果の持続性という観点で課題が残っています。今般、本事業「生活習慣病対策プロジェクトフェーズ2」を通じて、フェーズ1の成果を国家レベルのシステムとして根付かせることで、フィジー国における持続的なNCDs対策の向上を支援します。

目標

上位目標

フィジー国におけるNCDsの管理の状況が向上する。

プロジェクト目標

フィジー国におけるNCDsの予防、コントロールが強化される。

成果

1.フィジー国のプライマリーレベルでのNCDsの予防・管理対策が強化される。
2.職場健診の導入を通じて、フィジー国における職域でのNCDs対策が強化される。
3.MIを利用したNCDs対策実施のための持続的な人材育成の仕組みが強化される。
4.プロジェクトの成果がフィジー国内および大洋州地域内で共有される。

活動

【成果1】フィジー国のプライマリーレベルでのNCDsの予防・管理対策が強化される。

1-1.プライマリーレベルのヘルスシステムであるウェルネスクリニックシステムの現状調査を行う。
1-2.ウェルネスクリニックシステムにおけるNCDs疾病管理の標準作業手順書(SOP)を取りまとめる(MIカウンセリングやIEC教材等も活用する)。
1-3.SOPの試行のために、パイロット地域を選定する。
1-4.パイロット地域でマスタートレーナーを選定し、TOT研修を実施する。
1-5.育成されたマスタートレーナーが、パイロット地域のヘルスセンターの医療従事者に対して、研修を実施する。
1-6.パイロットサイトで、SOPに沿った保健サービスの提供およびSOPの改訂を実施する。
1-7.フィジー全土でSOPに基づいた保健サービスを実施する。

【成果2】職場健診の導入を通じて、フィジー国における職域でのNCDs対策が強化される。

2-1.フィジーの職域でのNCDs予防・管理に係る介入状況を調査する。
2-2.職域で実施される健診システムを確立する。
2-3.リスク患者のフォロー、モニタリング、ヘルスセンターへのリファーなどの職域でのフォローアップシステムを確立する。
2-4.パイロットサイトを選定し、健診システムとフォローアップシステムの試行を行う。
2-5.試行の実施状況のモニタリングおよび健診システムとフォローアップシステムの改訂を実施する。
2-6.フィジー全土で、健診システムとフォローアップシステムを実施する。

【成果3】MIを利用したNCDs対策実施のための持続的な人材育成の仕組みが強化される。

3-1.MIカウンセリングの実施状況(SOPD、職域、FNU、など)を調査する。
3-2.3-1の結果に基づき、MIカウンセリングの人材育成に関する計画を立てる。
3-3.MIカウンセリングのTOTを実施する。
3-4.MIカウンセリングの状況をモニタリングし、3-2の計画を改定する。

【成果4】プロジェクトの成果がフィジー国内および大洋州地域内で共有される。

4-1.本プロジェクトの成果を取り纏め、他大洋州島嶼国にどのように成果を共有していくか、関係機関と協議し、計画を立案する。
4-2.本プロジェクトの成果の共有の場を設定し、成果について協議する。
4-3.共有されたプロジェクトの成果を、他大洋州地域でも活用するためのワークショップ、セミナー等を開催する。

投入

日本側投入

専門家派遣
本邦研修/第三国研修、現地国内研修
活動に必要な最低限の機材
プロジェクト活動費

相手国側投入

カウンターパートの配置
施設、機材、備品(執務スペースと必要機材、プロジェクト実施に必要な資機材)
ローカルコスト負担(プロジェクト実施に必要な運営費等)