研修教材とプログラムの改訂

2020年10月10日

プロジェクトでは、母子手帳を有効に活用して質の高い母子保健・栄養サービスを提供するための研修を実施しています。アシャンテ州重点11郡での保健医療従事者向け研修と各州での主要病院研修を経て、研修プログラムと研修教材の改善点が浮かび上がってきました。それを受けて、GHS家族保健局に所属するナショナルファシリテーター(母子保健・栄養)とプロジェクト専門家からなるテクニカルチームでは、2020年3月頃から研修講師用ガイド、研修参加者用マニュアル、研修プログラムの3点の修正点の話し合いを開始しました。ガーナでも新型コロナウイルス感染が広がる中、4月下旬までに全ての専門家が一時避難帰国を余儀なくされましたが、専門家はGHS家族保健局のナショナルファシリテーター達とオンラインで定期的に会議を持ち、研修プログラムと研修教材の改訂を進めてきました。

研修教材(講師用ガイドと参加者マニュアル)の改訂作業

モジュール全体をテクニカルチームで見直した後、モジュールを構成する単元(細分化された主題ごとの講義・実習単位)の組み方や内容、時間配分の適正化、演習やグループワークの充実、研修講師用ガイドと参加者マニュアルの内容や書きぶりの一貫性といった視点から、各自が割り当てられたモジュールを見直して修正案を作成し、毎週テクニカルチーム会議をオンラインで開催し、順を追って全員で確認を行っていきました。確認作業は時差のある中毎回3~4時間を超えましたが、ナショナルファシリテーターと専門家の双方が集中して取り組み、着実に作業を前に進める事が出来ました。結果、各モジュールとその所要時間は以下の表のようになりました。

  改訂前のモジュール 時間 改訂後のモジュール 時間
1 Introduction of Maternal and Child Health Record Book 1時間30分 Introduction of Maternal and Child Health Record Book 1時間20分
2 Completing recording sections in MCHRB 2時間30分 Completing recording sections in MCHRB 2時間
3 Measurement of height/length and weight 2時間30分 Determining age and Measurement of height/length and weight 3時間
4 Plotting and Interpretation 1時間30分 Plotting and Interpretation 1時間30分
5 Basic Nutrition and Health and Nutrition Messages 2時間30分 Basic Nutrition and Health and Nutrition Messages 2時間30分
6 Nutrition Counseling and Respectful Care 2時間30分 Nutrition Counseling 3時間40分
7 Field Practice 5時間 Field Practice 4時間30分
8 Strengthening Nutrition Counseling Services 3時間 Strengthening Nutrition Counseling Services and Respectful Care 5時間20分
    計21時間   計23時間50分

研修教材の主な改訂点

今回の改訂によって追加された主な内容の一つに、モジュール4に加えられた「子どもの健康・栄養記録台帳(Child Health and Nutrition Register)の使い方」の単元があげられます。これは以前の記録台帳に代わり最近になってGHSが保健医療施設に導入したもので、各施設での個々人の健康・栄養状態の把握や、施設レベルでのデータのとりまとめと各郡への報告に使われるものです。新しい台帳では栄養状態についての記載項目が充実されるなど母子手帳の記載内容やプロジェクトの成果指標と関連した内容となっていることから、その正しい使用のための講義を追加しました。また、モジュール5には、栄養カウンセリングの際の要因分析の基礎となる知識を確かなものとするため、「栄養不良の原因の検討」の単元が加えられました。同じモジュール内には、より地域・季節に沿った食物を使った栄養指導ができるよう、地元で入手できる食材の食物カレンダーの作成も追加されました。
また、モジュール5の栄養カウンセリングは、栄養カウンセリングの技術に特化して内容を整理・充実させ、モジュール8のなかで、妊婦健診や乳幼児健診の際の栄養カウンセリングサービスの実施方法と、栄養カウンセリングや他の全てのサービスに求められるリスペクトフルケアの実践について学び、両者の内容を反映したグループ演習を行うことにしました。

研修プログラムの見直し

これまでの3日間の研修日程では、講義や演習、事前・事後テストの時間が不足気味であり毎日夕方まで研修時間が延びてしまいがちでした。また、保健医療施設での実習の時間もモジュール上の設定では5時間でしたが実際のプログラムでは3時間半しかとれていませんでした。これらの点に加え、さらに今回の教材改訂で増えた時間数を反映する必要があることから、研修プログラムの見直しを行いました。その結果、研修期間が3日間から4日間へと拡大されることになりました。

今後の予定

オンラインでの会議を重ねた結果、9月に改訂作業が完了しました。改訂版研修教材とプログラムは、今後予定されているグレーターアクラ州とオティ州を対象とした主要病院研修の際に試用され、そこでのフィードバックを経て最終化される予定です。この改訂版教材を用いることによって研修参加者の学びがさらに深まり、母子手帳を活用したサービスの質が向上することを願い、避難帰国中の専門家と現地のナショナルスタッフが協力して次回の研修実施に向けた準備を始めていきます。