アシャンティ州でのエンドライン調査データ収集の実施

2021年9月13日

アシャンティ州重点11郡において、プロジェクトは1)母子手帳基礎研修に栄養カウンセリングサービスとリスペクトフルケアの内容を統合した保健医療従事者向け研修(990名育成)、2)保健医療施設でのモニタリングやコーチングによる研修後のフォローアップ、3)母子保健・栄養に関する母親や家族、コミュニティの意識の変化や行動変容を促すための啓発活動の実施支援を約2年間に渡り行ってきました。その結果、どのような変化が起きたかを明らかにするため、エンドライン調査を実施しました。エンドライン調査の結果は、活動に先立ち行われたベースライン調査(プロジェクトニュース「アシャンティ州でのベースライン・現状調査の実施」参照)と比較して分析される予定です。

調査の準備

コロナ禍でエンドライン調査の時期が延期されたことから、エンドライン調査に先立ち調査提案書をGHSの倫理審査委員会に再提出し、承認を得る必要が生じました。その際、コロナ禍での母子保健サービスへの影響について対象地域での大まかな様子を把握することができるよう追加した質問項目及び、調査時の新型コロナウイルス感染予防対策の徹底について追記した内容等も合わせて承認を得ることになりました。2021年初旬から準備を開始しましたが、7月に入ってようやく、承認を得ることができました。

調査員の養成

倫理審査委員会の承認と並行して、データ収集と分析のためのローカル・コンサルタント選定が進められました。選定されたコンサルタントチームは、2021年8月31日から9月2日の3日間、アシャンティ州保健局においてデータ収集のための調査員養成研修と保健医療施設におけるプレテストを開催し、計600人(介入3郡300人、コントロール3郡300人)の妊婦と母親からデータを収集するため、18人の調査員を養成しました。調査員の多くはベースライン調査時のデータ収集にも参加していましたが、2年が過ぎて忘れてしまっている事も多く、再度丁寧な研修が必要となりました。

本研修にはGHS本部の栄養課職員及びプロジェクト専門家、州栄養士が参加して、調査結果入力に使用するアプリケーションに取り込まれた質問の流れや内容に問題はないか、コンサルタントによる質問票やインタビューの仕方の説明が正確且つ十分であるかなどを確認し、特に栄養関連の質問に関しては質問票ガイドを用いてより具体的なインタビューの仕方や食品グループチャートを使用するなど必要な補足説明や質問票の修正指示などを行いました。座学での研修の後には実際に保健医療施設にて対象である母親にインタビューを行い、質問の意味を正確に理解したうえで的確に回答が得られているか、アプリケーションへのデータ入力が正しくできているかなどを確認し、さらなる質問票への修正指示を行いました。

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コンサルタントによる質問票の説明

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プレテスト時の確認作業の様子

各郡でのデータ収集

研修に続き、各郡でのデータ収集作業が実施され、プロジェクト専門家とGHS本部・州職員が手分けして介入郡3郡、コントロール郡3郡を回って調査員達によるデータ収集の進捗モニタリングを行いました。対象施設に調査の目的や対象者についての説明をしているか、調査対象者のカテゴリーや人数は計画に沿っているか、対象者のプライバシーや新型コロナウイルス感染予防対策は守られているか、質問票に問題はないか、質問ガイドや食品群表をインタビュー時に正しく使っているか、などを確認しました。確認事項に基づき、インタビューの仕方や入力の仕方についてその場で調査員に指導したり、質問票への入力時の注意事項についてSNSプラットフォームを通じて調査員全体に伝達したり、コンサルタントへ質問票更新の申し入れ等を行いました。調査員が母子手帳の誤った箇所を確認して回答を入力しようとしている、想定外のケースがあり質問表の回答に当てはまる選択肢がない、全調査員に配布した質問票ガイドや食品群表を置いてきてしまう調査員がいるなど、現場で起きる思いも寄らない問題に一つ一つ丁寧に対応し、データの質の担保につとめました。

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調査員に指導をするGHS職員

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対象者にインタビューをする調査員

今後の予定

今後は、データ収集にあたって調整した事項をコンサルタント側と再共有しデータ分析計画を確認した上でデータ分析を行ってもらい、その内容を専門家とGHS職員で都度確認しつつ報告書としてまとめてもらいます。コロナ禍での一時待避により遠隔作業となり活動が思うように進まなかった時期も経て、GHSとともにガーナの母子の健康のために歩んだ母子手帳プロジェクト活動のインパクトが明らかになることを、プロジェクト関係者一同心待ちにしています。