州講師、郡講師育成研修開催。939名の講師研修完了。

2021年10月11日

2021年9月14~17日の4日間、アシャンティ州において州講師、郡講師研修を開催しました。プロジェクトではアシャンティ州11郡を重点郡とし、保健医療従事者研修や定期的なモニタリング・スーパービジョン、SBCC活動を実施してきましたが、その事前事後調査のために同アシャンティ州内にコントロール郡を3郡設定しています。2021年9月にエンドライン調査のデータ収集が終了したため、コントロール郡の保健医療従事者へも研修を提供できるよう、郡講師の育成が必要になりました。また、ガーナは2019年に全国10州の内4州が2~3の州に分かれることで、全16州となりました。プロジェクトは、2018年に州講師育成研修を全10州で実施しましたが、州が分かれたことにより新6州でも州講師、郡講師を育成する必要性が出てきました。すでに、2020年11月にオティ州を対象に州、郡講師育成オリエンテーションおよび保健医療従事者研修を実施したので(プロジェクトニュース「オティ州保健医療従事者研修開催」参照)、今回は、そのほかの新5州の州講師、郡講師育成を行うこととなりました。コントロール郡から15名、新5州から50名、さらにGHS本部から5名、合計70名が研修に参加することとなり、2つのグループに分け、2研修を同時に開催しました。

プロジェクトでは今回の研修をもって、ガーナ全国の16州、259郡全ての講師研修を完了し、プロジェクト実施期間中に総計939名の講師を育成しました。

研修の様子

本研修は、2018年から実施していますが、実施のたびにカリキュラムを改訂してきました。参加型の練習、実習を増やすことで研修参加者が確実に知識や技術を身に着けられるよう工夫を凝らすと同時に、母子保健・栄養に関する最新の情報やGHSガイドラインを盛り込んできました。経験豊富な州保健局の州保健師、州栄養士が多く参加した今回の研修では、これまでの郡講師育成研修以上に、多くの実践的な質問が飛び交い、日々、研修時間を大幅に超えて、議論が交わされました。本研修には、GHS家族保健局のイサ局長、フォフィエ母性課課長、エシ栄養課課長が参加し、母子手帳印刷や配布基準、継続的なモニタリング実施等、各州からの質問や現場の課題などに耳を傾け、対処法について熱心に説明していました。

3日目、4日目に行われた病院実習では、研修参加者が母子手帳の記入方法、身体計測方法、カウンセリング方法等を練習しました。講師らは、実習の様子を細かく観察しつつ、適時助言をおこない、研修参加者は、実践を通じて不明点を解消し、理解を深めていました。特に、栄養カウンセリング内容を記録として残すことは、本母子手帳で新しく導入された箇所であり、経験豊富な研修参加者も一つ一つ丁寧に過程を確認し、記録をおこなっていました。

さらに、研修参加者は、今後州講師、郡講師として、保健医療従事者の研修や研修後のモニタリング・スーパービジョンも担うこととなることから、モニタリングチェックシートとともに、保健医療従事者が習得に時間のかかりやすい技術やモニタリング現場で確認すべきポイントについての説明も受けました。モニタリングでは、保健医療従事者の知識、技術の確認のみならず、母子手帳や関連物品の管理状況も確認していくこととなります。

3年間の締めとなる今回の講師研修では、講師陣の技能、チームワークが発揮され、充実した研修を安心して見守ることができました。また、研修カリキュラムの枠を超えた自立発展性の課題について、GHS家庭保健局長や幹部職員が現場の職員に直接説明する、とても貴重な機会になりました。

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母子手帳記録練習

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身長計測練習

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乳幼児の栄養、食事を学ぶグループワーク

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乳幼児健診での実習

これからの活動

2021年10月初旬から、アシャンティ州コントロール3郡にて、保健医療従事者研修が始まります。今回、研修を受講した郡講師が、州講師の支援を受けながら、合計10回の研修を実施し、300名以上の保健医療従事者が研修を受講する予定です。新州においては、州講師・郡講師が研修計画をたて、郡保健局予算や外部資金等を使いながら保健医療従事者研修やモニタリング・スーパービジョンを実施していくこととなります。プロジェクトでは、改定を重ね最終化された母子手帳ユーザーガイドや研修教材一式を、全国16州用に増刷、配布することとなっています。育成された州講師、郡講師を要に、研修やモニタリングが実施され、各州、各郡における次の一歩に繋がっていくことを期待しています。