ポン灌漑地区、全国に先駆け、全ての水利組合の設立が完了

2019年7月1日

ガーナの灌漑地区の水利施設は、現在、ガーナ灌漑開発公社(GIDA)が主体的に運営、維持管理していますが、将来的には、利用者が水利組合を立ち上げ、末端施設を中心に自ら運営・維持管理をすることが期待されています。そのために、水利組合(WUA:Water Users Association)に関する法律が2016年に5月に制定されました。
プロジェクトは開始当初より、ポン灌漑地区にて水利組合の設立を支援してきました。

水利組合の設立には、以下のステップを踏む必要があります。
1.灌漑を利用する農家により設立準備委員会を立ち上げる。
2.設立準備委員会の委員によって、必要な基本文書(登録願、規約、活動計画、予算)の原案を作成する。
3.灌漑用水を利用する農家を広く集めて設立会合を開き、基本文書を承認するとともに、水利組合の臨時運営委員会役員を選出する。
4.臨時運営委員会が、承認された基本文書をGIDAに提出する。
5.GIDAが申請を承認、水利組合登録証を水利組合に発行する。

これまでにあまり組織活動をしてこなかった農家を一同に集めて、様々な事項を決定するのは、言葉から想像するほど簡単ではありません。まずは、会合を開催するだけでも、「農作業がある」「葬式がある」など、各農家それぞれが事情を抱えており、さらに通信事情も、インターネットを使っている農家もいれば、携帯電話すら持たない農家もいます。会合開催の情報をいきわたらせ、出席者を得るだけでも、東奔西走しなければなりません。さらに、水利組合による灌漑設備の運営・維持管理は各メンバーから徴収する水利費により賄われていますが、水利費の徴収への賛同を得て、実施に支払いをしてもらうためには、水利組合がきちんとサービスを提供し、農家からの信頼を高めていく必要もあります。

ポン灌漑地区は、全国でも水利組合の立ち上げへの取り組みが最も早く、2018年3月には、ガーナで最初に二つの水利組合が立ち上がりました。その後もプロジェクトの支援により順調に水利組合の設立が進み、2019年6月、ポン灌漑地区の全ての区域で水利組合の登録が完了しました。7月1日に開かれた、ポン灌漑地区全体の水利組合代表者月例会合では、最後に登録された2つの水利組合にGIDAからの登録証が手交されました。
ポン灌漑地区は、全国に先駆けて水利組合が立ち上げられたということで、現在、全国からモデル地域として注目されています。
しかし、組織の設立は、水利組合にとって、最初の一歩でしかありません。設立された組織が、求心力のある組織として機能していくためには、メンバーが所属するメリットを十分に感じる必要があります。プロジェクトは、組合が健全に運営されるよう、水利組合の能力強化を支援するとともに、灌漑用水の安定供給の他、栽培技術の向上や農業経営改善への支援など、農家が水利組合のメリットを感じられるよう、様々な取り組みを続けていきます。

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水利組合設立会合

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登録証を手交される水利組合メンバー