プロジェクトの活動状況と今後の展望“カウンターパートとの信頼を礎に”

2020年10月31日

新型コロナウイルス感染症の影響

世界中に新型コロナウイルスの感染が拡大した2020年3月、ガーナでも初の感染者が出たことが発表され、その後、集会の禁止や、一部感染拡大地域における外出制限等、感染症拡大予防策が次々と発表されました。専門家も、これら措置に従い3月下旬から自宅勤務を開始、さらに4月半ばには退避一時帰国をすることになりました。
その後、ガーナにおいては5月~7月に感染者数が増加しましたが、8月以降は新規感染者数が少ない状態で安定しており、現在は、マスクの着用や人と人との距離を保つなどの基本的な予防策は求められているものの、外出や集会に関する制限は解除されています。

現在のプロジェクト活動

専門家が日本に帰った後も、プロジェクト活動は継続して実施されています。
当初4月に開始予定であった水利組合のリーダー(農家)を対象とした研修は、感染症の状況を確認しつつ、9月に開始をしました。プロジェクトでは、全15の水利組合を4つのバッチに分けて、コメ栽培技術、水管理、農家経営に関する研修を実施しており、今回の研修が最後のバッチとなります。専門家が不在の中ですが、カウンターパートやプロジェクトスタッフの頑張りとJICAガーナ事務所からの支援により、研修は順調に進んでいます。「農家の意欲も高く、積極的に参加している」と、カウンターパートから誇らしげな報告が入っています。
本プロジェクト活動の柱の一つである水利組合強化への支援に関しても、カウンターパートのイニシアティブのもと,組合運営にあたって重要な総代会や、15WUAの役員が集まり情報交換を行う月例会合などが、集会禁止規制の一部緩和後の7月から順調に開催されてきています。また、15WUAの連合組合の設立に向けた動きもスタートしています。
併せて、営農技術を検証する試験ほ場・優良な品質の種子の生産供給を行うほ場の運営や、保証種子生産農家のモニタリングなどが、様々な制約のなか、カウンターパートの努力で継続されています。保証種子生産には、公的機関によるほ場・種子の審査を継続して受ける必要がありますが、10月には、その審査も無事に実施されました。

9月には、プロジェクトの終了時評価が実施されました。コロナ禍で異例の遠隔による終了時評価となり、裨益者である水利組合のメンバーや農家の皆さんにも画面越しにインタビューに答えてもらうこととなりました。終了時評価では、プロジェクトの成果とともに、プロジェクト終了までに取り組むべき課題も明確になりました。また、感染症拡大と専門家の避難一時帰国等により活動が一部遅延したことなどから、2021年6月末まで、5ヵ月間のプロジェクト期間の延長が提言されました。

今後に向けて-カウンターパートとの信頼を礎に

専門家は、ガーナに再赴任できる日を待ちつつ、現在の所は日本で遠隔による活動を継続しています。遠く離れていることにより、思うように物事が進まずもどかしく感じる事もありますが、他方で、現地にいるカウンターパートに任せざるを得ない状況となることで、カウンターパートのイニシアティブがこれまで以上に活かされ、モチベーションの向上にもつながっています。また、これらの基礎となっているのは信頼関係であり、これまでの関係の積み重ねにより、遠隔でも活動が継続できていると感じています。
終了時評価の結果を鑑みつつ、今後プロジェクト終了までの約半年間、普及活動の強化やプロジェクト終了後の持続性の確保等に向けて、心を一つにして取り組んでいきます。

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終了時評価でのオンラインインタビュー

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参加者間の距離を確保した研修会場

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公的機関による審査を受ける農家種子ほ場