プロジェクト成果の普及に向けて

2021年3月25日

プロジェクトの成果を凝縮したマニュアル・ガイドラインが完成

2021年2月、これまでの5年間のプロジェクト活動から得られたノウハウや技術、研修内容が凝縮された以下の6冊のマニュアル/ガイドラインが完成しました。

・水利組合設立プロセスに関するガイドライン
・水利組合運営マニュアル
・イネ保証種子生産ガイドライン
・適正投入稲作技術ガイドライン
・適正投入稲作技術 水管理マニュアル
・稲作農家経営ハンドブック

プロジェクトの知見が目に見える形でまとめられたことで、プロジェクトの成果の普及が促進されることが期待されます。これらマニュアル・ガイドラインは、今後、実施機関であるガーナ灌漑開発公社(GIDA)により、対象地区であるポン灌漑地区の農家のみならず、全国の灌漑地区にも配布される予定です。

コロナ禍での成果共有セミナーの実施

ガーナでは、2021年1月、急速に新型コロナウイルス感染症が再拡大しました。コロナの再拡大を受け、ガーナ政府は1月31日に、小規模な私的な集会を除く、結婚式や葬式などの社会的な各種集会の禁止措置を発表しました。セミナーについては、その開催が明確に禁止されなかったものの、できる限りオンラインでの開催が推奨されました。

プロジェクトは全国の灌漑地区から幹部を招いての成果共有セミナーの開催を予定していましたが、このような状況の中で、どのような形でセミナーを行うのが良いか、議論を重ねました。その結果、最も新型コロナウイルス感染症が流行している首都アクラに地方から人を集めることは避け、地方からの参加者等をオンライン参加とする「ハイブリッド方式」で実施することとしました。

3月3日、アクラの会場に28名、オンラインからは地方の灌漑地区幹部に加えて灌漑分野で事業を行う他ドナー関係者など約47名が参加し、セミナーは成功裏に終えることができました。当日のプログラムは、オンライン参加者への配慮から、質疑応答を含め全体で2時間半と限られた時間にはなりましたが、プロジェクトの主要な分野である、1)水利組合の設立と運営、2)適正投入稲作技術及びイネ保証種子生産、3)ビジネスとしての農家経営、の3分野について、過去5年間で得られたプロジェクトの経験と教訓を発表しました。オンラインを含む参加者からは活発に質問が出され、特に今後全国の灌漑地区での水利組合の設置が急がれているため、ポン灌漑地区の事例への関心の高さがうかがえました。加えて、今回のような技術セミナーを別途地方でも開催してほしいとの要望が複数寄せられました。セミナーの最後にはJICA事務所より、本プロジェクト終了後まもなく次期協力を開始し、継続して稲作分野を支援していく計画が表明されました。

第5回合同調整委員会(JCC)の開催

成果共有セミナー開催後、会場では続けて第5回合同調整委員会(JCC)が開かれました。JCCではセミナーで発表されたこれまでの成果を踏まえ、プロジェクト終了後の出口戦略、即ちプロジェクトの成果をどのように持続・発展させ、全国に展開していくかという点について、想定される技術的課題や障害等を含め、活発な議論が交わされました。議論の結果、同国の稲作セクターの振興には、コメ生産に関わるステークホルダーとのパートナーシップが必要不可欠であり、GIDAが今後食料・農業省(MoFA)や他の灌漑地区、ステークホルダーとの協働により、現場にて関連事業を展開していくことの重要性が再確認されました。

プロジェクト専門家5名の内、「水利組合」と「プログラム調整」の2名の任期が3月末に終了となります。今後は残された3名の専門家が、本JCCでの議論を基に、6月末のプロジェクト終了時まで、さらなる成果の発現と普及のためにカウンターパート達と力を合わせて取り組んでいきます。

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プロジェクトで作成されたマニュアル/ガイドライン

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セミナーでの高橋チーフアドバイザーの挨拶

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JCC会場の様子