プロジェクト概要

プロジェクト名

(和)市場志向型農村生活改善プロジェクト
(英)Market-Oriented Rural Life Improvement Project

対象国名

ガーナ

署名日(実施合意)

2021年12月14日

プロジェクトサイト

ガーナ全州
(ワークショップを実施の上、関心を示した州によるプロポーザル競争を経て、支援する州を決定する)

協力期間

2022年4月29日から2027年4月28日

相手国機関名

(和)食糧農業省
(英)Ministry of Food and Agriculture(MoFA)

背景

ガーナにおいて、農業セクターは全労働人口の44.7%が従事する基幹産業です。一方で、就労形態別の世帯調査では、農家世帯の貧困率は43%(2016/17年)と他の就労形態よりも大幅に高く、2012/13年の39%から増加傾向にあります(Ghana Living Standards Survey Round 7, 2018)。農家の大半は、耕作地2ヘクタール以下の小規模農家であり、依然として自給自足を中心とした伝統的農業を営んでおり、生産性・収益性とも低く、食糧へのアクセスや栄養状態など、農村の生活水準向上を妨げている状況です。
ガーナ政府は2018年に、農業セクターの中期開発計画に位置づけられる「Ghana Integrated Plan for Agri-Food-System Development(GIPAD)2018-2021」を公表し、「Planting for Food and Job(PFJ政策)」のイニシアチブを掲げ、「企業的農業の促進とバリューチェーン構築による食料・農業システムの変革」を目指すとして、ビジネスとしての農業を推進してきました。
こうした中、ガーナでは2015年以降、食糧農業省の職員がJICA課題別研修「アフリカ地域市場志向型農業振興(行政官コース・普及員コース)」に参加しており、帰国後、研修員が作成したアクションプランに基づくパイロット事業が実施され、その有効性が実証されています。ガーナ政府はこれらの活動とSHEPアプローチの有効性を評価し、SHEPアプローチをさらに同国で広め、小規模園芸農家の生産性やマーケティングを強化し生計向上を目指すことを目的として、JICAに技術協力を要請しました。

目標

上位目標

SHEPアプローチを主流化した農業技術普及サービスが小規模農家の生活改善を目指し、持続的に提供される。

プロジェクト目標

SHEPアプローチを主流化した農業技術普及サービスシステムが、対象州及び対象郡の小規模農家の生活改善に向けて機能する。

成果

1.SHEPアプローチを主流化した農業技術普及サービスシステムが、ガーナの地方分権化を踏まえ、中央政府レベルで構築される。
2.SHEPアプローチを主流化した農業技術普及サービスシステムが、対象州及び対象郡で構築される。
3.SHEPアプローチを主流化した農業技術普及サービスシステムが、対象州及び対象郡主導で提供される。
4.栄養改善に関する普及システムが、対象州対象郡で構築される。

活動

詳細計画策定

0-1.プロジェクト関係者の役割を明確にする。
0-2.詳細計画策定に必要な情報(園芸作物バリューチェーン等)収集に向けた調査を実施する。
0-3.SHEPアプローチを広く普及させるため、連携可能なドナーやNGO等を見出す。

中央SHEPチーム

1-1.農業食糧省において、中央SHEPチームを設立する。
1-2.SHEP研修の帰国研修員と連携し、中央SHEPチームのメンバーを対象に、SHEPマスター・トレーナーの講師研修を実施する。
1-3.政府の農業普及政策におけるSHEPアプローチの主流化を目的とした、農業食糧省職員向けワークショップを中央SHEPチーム主導で実施する。
1-4.農業研修所や農業大学に、SHEPアプローチを紹介する。
1-5.プロポーザル競争に向けて、全州を対象としたSHEPアプローチに関するワークショップを開催する。
1-6.対象州及び対象郡選定に向けたプロポーザル競争を実施する。
1-7.州SHEPチームに対する講師研修を実施する。
1-8.実施プロセスをモニタリングし、デモサイトのある州の州SHEPチームに対し適宜技術支援を行う。
1-9.デモサイトの対象農家グループに対するインパクト評価を実施する。
1-10.デモサイトでの結果を基に、SHEPアプローチ主流化に向けた普及サービスシステムのモジュール及びツールをカスタマイズする。
1-11.州及び他ドナー等を対象とした経験共有ワークショップを開催する。
1-12.モニタリング及び評価結果に基づき、ガーナにおけるSHEPガイドラインを策定する。
1-13.SHEPアプローチに関する普及用資料(パンフレット、ポスター他)を作成する。

州SHEPチーム及び郡SHEPチーム

2-1.対象州で州SHEPチームを設立する。
2-2.SHEPアプローチを活用したアクションプランを作成する。
2-3.対象郡で郡SHEPチームを設立する。
2-4.郡SHEPチームを対象に、州SHEPチームが、SHEPトレーナー養成研修を実施する。
2-5.農業普及員を対象に、郡SHEPチームが、SHEPトレーナー養成研修を実施する。
2-6.対象郡においてデモサイトを創設する。
2-7.デモサイトの対象農家グループに対し、農業普及員がSHEP研修を実施する。
2-8.デモサイトでの活動をモニタリングし、適宜技術支援を行う。
2-9.デモサイトでの活動結果を評価する。

州SHEPチーム、郡SHEPチーム

3-1.デモサイトでの成果を基に、対象州内の新たな郡に対するSHEP普及戦略及び計画を策定する。
3-2.デモサイトでの成果を基に、対象郡内の新たな農家グループに対するSHEP普及戦略及び計画を策定する。
3-3.デモサイトでの成果を基に、SHEPアプローチの主流化に向けた普及サービスシステムのモジュールやツールを改良する。
3-4.対象州のSHEP普及戦略及び計画に基づき、対象州内の新たな郡でSHEPアプローチの普及を実施する。
3-5.対象郡のSHEP普及戦略及び計画に基づき、対象郡内の新たな農家グループに対してSHEPアプローチの普及を実施する。
3-6.SHEPアプローチの普及活動のプロセスをモニタリングする。
3-7.デモサイトでの活動結果を評価する。
3-8.プロジェクトの成果を基づき、広報活動を行う。

女性農業局主導

4-1.対象州・郡の州及び郡SHEPチームと農業普及員を対象に、SHEPアプローチに関するトレーナー養成研修と合わせて栄養改善に関するトレーナー養成研修を実施する。
4-2.対象郡の状況に合わせて、栄養改善に係るモジュールやツールをカスタマイズする。
4-3.対象郡の対象FBO構成員に対し、SHEPアプローチ導入と合わせた栄養改善に係る活動を実施する。
4-4.対象郡における栄養改善に係る一連の活動のモニタリングと評価を実施する。

投入

日本側投入

1.専門家派遣

チーフアドバイザー/SHEP、園芸栽培技術、業務調整/研修監理、栄養・生活改善

2.研修員受け入れ

カウンターパートの本邦研修もしくは第三国研修

3.機材供与

本事業の実施に必要な機材(プロジェクト車両など)

相手国側投入

1.カウンターパートの配置
2.案件実施のためのサービスや施設、現地経費の提供