ベースライン調査(母子保健分野)の実施

2016年9月26日

本プロジェクトの実施にあたり、対象地域であるキチェ県の妊産婦と子どもの健康・栄養状態を把握するため、ベースライン調査を実施しました。このベースライン調査の結果をもって、プロジェクト終了時の産前健診率、施設分娩率、予防接種率などの達成目標値や、そのための具体的な活動方針を策定します。

ベースライン調査の中でも、現場における聞き取り調査を、母子保健と栄養の2分野に分けて実施しました。前半は母子保健分野の調査が行われ、調査後はデータの集計と、それら集計結果に関し、9月中旬にカウンターパート機関との協議を行いました。8月下旬からは、後半の栄養分野調査も開始され、収集したデータを集計後、10月上旬に協議を行う予定です。
母子保健分野のベースライン調査は、母子保健にかかるKAP調査および栄養にかかる生活環境調査を主目的としています。5歳未満児をもつ母親がいる家庭を訪問し、質問票形式で調査をし、422サンプルを収集しました。質問構成は、1)世帯構成(同居者の性別、年齢、職業)、2)産科歴、3)母子の身体計測値(身長・体重)、4)母子保健にかかるKAP(知識・態度・行動)の4構成です。
同分野のベースライン調査では、KAP調査の手法を取り入れました。KAPとは知識(Knowledge)・態度(Attitude)・行動(Practice)で、例えば対象地域においても子どもが予防可能、治療可能な下痢で亡くなっており、ORS(経口補水液)について知っているか(知識)、子どもが下痢の時に治療やケアをどうしようと考えているか(態度)、実際に水分補給量を増やしたかどうか(行動)といった質問を、母親に対して行いました。

本調査の結果(定量)およびその後に実施したフォーカスグループディスカッション(定性)の結果から、母親や住民の多くは母子保健に関する正しい情報や改善に向けた解決策の知識をすでに持っているものの、実際にどうしたらよいのかわからない、そのため行動に結びついていないといった傾向が見られました。一方、知識がなく適切な行動ができていない母親、知識はあっても家族が障害となって正しい行動に移せない母親が少なからず存在しています。母子保健に関し、カウンターパート機関は現在の保健施設数や保健人材数では100%のサービスを提供することは困難であるとの見解を示しているため、産前産後のケア数や分娩立会い数では圧倒的な貢献をしているコマドローナ(グアテマラの伝統的産婆)を含むコミュニティを巻き込み、知識から行動へ母親やコミュニティ住民を後押しする活動が重要ではないかという仮説を得ました。

ベースライン調査が終了次第、カウンターパート機関と更なる協議を行い、2年次のパイロットプロジェクトの実施に向けて、具体的な研修計画、活動計画の策定を行います。

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5歳未満児をもつ母親への調査の様子

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母親の身長測定の風景