住民参加型モニタリング:野生動物自動撮影(カメラトラップ)調査研修

2018年8月23日

生物回廊の計画・設定では、地域の自然環境・野生動物の生息状況などのデータが欠かせません。野生動物の生息状況を知るには、専門家・研究者による調査だけでなく、地域資源を知り、保全管理に主体的に関わるとの観点から地域住民の参加が重要です。

野生動物の調査ツールとして、自動撮影カメラ(カメラトラップ)が市民参加調査などで広く使われるようになってきました。カメラトラップ調査では単に動物を撮影するだけでなく、(1)調査目的、(2)機材のセットアップ、(3)設置場所選定、(4)撮影データの回収・分析、を理解して行うことが重要です。生物回廊地域のデータ収集および参加型モニタリング普及のため、2018年8月20日から23日まで、プロジェクト対象地域の市の環境部門(UMA)担当者および地域住民を対象としたカメラトラップ研修と設置作業を行いました。

研修には、3つの市のUMA担当者、5つのコミュニティから地域住民5名、など計17名の参加がありました。研修では、野生動物調査組織の専門家から、コウモリ類を含むホンジュラスに生息する野生動物とミスキート地域におけるカメラトラップによるジャガー調査などの事例紹介のあと、カメラトラップのセットアップ実習を行いました。研修の2日目午後から4日目にかけて、地域住民の方の協力を得て、3カ所に計18台のカメラトラップを設置しました。夜にはカスミ網と超音波録音装置を使ったコウモリ類調査を見学しました。

カメラトラップの設定など、地域住民のみなさんには少し難しいかと当初思っていましたが、参加者は短時間で理解してくれました。これは、調査に興味がありかつスマホなどデジタル機器の利用に慣れている若者を中心に参加者として募ったことも功を奏したと感じています。撮影データの解析にはコンピュータが必要であり、この点が住民参加調査のネックになりますが、SNSでの画像情報共有などで補っていきたいと考えています。調査開始後1ヶ月でオセロットやコヨーテが撮影されています。今後は、市民参加型の調査で継続的にデータを収集し、それを回廊管理計画と地域資源管理にフィードバックしていくことが重要と考えています。

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カメラトラップ設置実習

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撮影されたオセロット