非感染性疾患(NCD)に関するツールの開発と試行活動

2022年7月29日

プロジェクトでは、高血圧と糖尿病を中心とした非感染性疾患(優先NCD)に関する保健サービスの強化に役立つツールを開発しています。現状の保健サービスの課題を踏まえ、3つのツール(案)を作成しました。1つ目は「優先NCDスクリーニング用紙」です。この用紙は、患者を早期発見するため高血圧症と糖尿病の危険因子のスクリーニングを行います。2つ目は患者用の「優先NCD啓発カード」で、個人の血圧・血糖情報などを記入し、患者自身が自分の健康状態を知ることに加え、栄養や運動等に関する教育的な資料も組み込み、NCDの予防や継続的な治療を促すことを目的とした手帳です。3つ目は、保健センターの医療従事者が使用する「優先NCD患者カルテ」で、検査結果や治療内容を記録し、患者の継続的なフォローアップを行うための記録用紙です。

ツールの開発を行う上で、作成されたツールを医療施設などで実際に試行し、使いやすいか、問題はないかなどを確認する必要があります。プロジェクトでは、パイロット地域内にある4つの保健センターで試行活動を開始しました。

2022年7月20日にタトゥンブラ保健センターで実施された活動では、50名の患者が啓発カードを受け取り、60名分の患者情報がカルテに記入されました。新しいツールを使用した医師からは、「記入は難しくなかった、必要な情報が網羅されていてよい」といった声が聞かれました。一方で、文字が十分に読めない患者もいたことから、単にツールに情報を記入することだけでなく、口頭での説明やアドバイスも同時に行われました。今後も医療従事者や患者と意見交換を行いながら、ツールやアドバイスの方法について改良を進めていきます。

また、パイロット地域では、優先NCDの診断や治療に必要な医療用資機材が慢性的に不足し、保健サービスの提供に大きな影響を与えています。プロジェクトでは試行活動にあたり、不足する医療資機材の供給を行いました。今回購入した資機材は、主に血糖測定キット、電子血圧計、体組成計、尿検査用キット、眼底測定器です。また、2022年3月にJICAはプロジェクトの一環として、保健省へ高血圧症と糖尿病の医薬品の供与を行いました。供与薬剤は検品作業を経て各保健センターへ配備され、各地の保健センターでの治療に役立っています。

【画像】

作成されたNCD啓発カードへ情報を記入している医療事者の様子

【画像】

プロジェクトで購入した医療用資機材を使用し、血糖値を測定する様子

【画像】

プロジェクトにより導入された機材を通じ、体脂肪率を測定する利用者

【画像】

JICAにより供与された医薬品を患者に配布する担当者