優先NCD指導者研修を開催しました

2022年11月10日

一次医療施設において、優先NCD(高血圧症・糖尿病)の保健サービスが十分に提供されていない理由の1つに、医療従事者の知識と経験の不足が挙げられます。プロジェクトでは、ホンジュラス保健省が作成している高血圧症・糖尿病の診療ガイドラインの内容を参考に、8月24日から26日と9月7日から9日に、一次医療施設に勤務する医師と正看護師、計58人へ優先NCD研修を実施しました。

この研修は指導者養成研修として位置付けられています。はじめに医師と正看護師が研修を受講します。これら指導者として選ばれた参加者は、研修を受けたのち、同じ施設や地域内の施設に勤務する准看護師に伝達研修を行っていきます。

研修は、1日目に糖尿病、2日目に高血圧症をテーマに講義と演習を行いました。同研修では、ホンジュラス国立自治大学の協力を受け、12人の医師が講師として派遣されました。演習では、診察に必要な検査、身体測定、血糖、血圧測定に始まり、より専門性の高い糖尿病性足病変や眼科の診察演習を実践しました。

また研修の3日目には、プロジェクトで作成している優先NCD患者のスクリーニング用紙、患者カルテ、啓発カードを紹介しました。これにより、優先NCD対策において、早期発見と継続治療の具体的な方法を確認でき、参加者の意識がさらに高まりました。

研修を受けた参加者からは「今まで医師として15年以上働いてきて、優先NCDをテーマにした研修を受けたことは1度も無かった。さっそく他の同僚にも内容を伝えていきたい」、「専門医から指導を受けられて良かった」と声が上がり、満足度の高い研修となりました。研修開始時に実施したプレテストの平均点は、糖尿病研修で38.8点、高血圧症研修で61.2点でしたが、研修後のポストテストでは、糖尿病研修で66.1点、高血圧症研修で85.3点に上がりました。糖尿病研修については、まだ点数が低い状況ですが、高血圧症研修で満点を取る参加者がいたことからも、研修の成果が見られました。この研修をきっかけに診療ガイドラインを理解し、正しい診断や治療が行われることが期待され、知識のさらなる定着のため、フォローアップを行っていきます。また、今回の研修の様子を録画したビデオ教材を作成し、他の医療従事者も学ぶことができるよう、保健省でWebサイトの準備を進めています。

今後、指導者として選ばれた医師、正看護師と共に、准看護師へ研修を行う予定です。優先NCDの保健サービスでは、正・准看護師による医師との連携や、患者へのアプロ-チも重要です。医師、正・准看護師、栄養士などとの多職種連携を通じて、優先NCDの保健サービスの改善に取り組んでいけるよう、活動を進めていきます。

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講義の様子

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グループワークの様子

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糖尿病性足病変の診察演習の様子

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血圧測定の様子