プロジェクト概要

プロジェクト名

(和)ホンジュラス国保健サービスネットワーク(RISS)を通じた保健サービスデリバリー強化プロジェクト
(英)The Project for the Strengthening of Health Service Delivery of Integrated Health Service Network
(西)Proyecto de Fortalecimiento de la Prestación de Servicios de Salud en Redes Integradas de Servicios de Salud

対象国名

ホンジュラス

署名日(実施合意)

2021年6月2日

プロジェクトサイト

フランシスコ・モラサン保健区、エル・パライソ保健区

協力期間

2021年10月15日から2026年10月14日(5年間)

相手国機関名

(和)保健省
(英)Ministry of Health

背景

JICAは、ホンジュラス政府の要請を受け、2013年から2018年まで「『国家保健モデル』に基づくプライマリーヘルスケア体制強化プロジェクト」を実施しました。同国が打ち出している「国家保健モデル」の実践として「家庭保健チーム(医師、看護師、保健プロモーターによるコミュニティ巡回型保健医療チーム)」の導入を通じ、母子保健指標の改善に取り組みました。こうした協力の結果、同国の母子保健指標である妊産婦死亡率および5歳未満児死亡率は、改善しています。しかし、心血管疾患やがんなどの非感染性疾患(NCD)は増加傾向にあり、対応が望まれています。
本事業では、同国の保健省におけるNCDへの取り組みを強化するため、サービスの提供方法の改善、人材の育成、監督・モニタリング・評価体制の強化について協力を実施します。特に、NCDの中でも虚血性心疾患、脳卒中、慢性腎障害の原因疾患である高血圧と糖尿病を優先的な疾患とし、保健サービスの改善に貢献します。
また保健省は、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の達成に向け、保健医療の改革に取り組んでいます。例えば「国家保健モデル」の実践と普及においては、1)各保健区内の家庭保健チーム、一次・二次レベル医療施設、ネットワーク調整チームによって構成される「統合保健サービスネットワーク(RISS)」と、2)医療施設間の連携を促進するリファラルシステムの2点の機能強化が課題となっています。プロジェクトでは、こうしたRISSやリファラルシステムの強化により、ヘルスケアの継続的・統合的な提供が保証され、効率的な保健サービスの供給が促進されることを目指します。

目標

上位目標

プロジェクト対象地域において、国家保健モデルの実施を通じてUHCが促進され、住民の健康が改善する。

プロジェクト目標

プロジェクト対象地域の住民へのNCD関連のPHCサービス提供の改善に向けて、RISSの運営管理能力が強化される。

成果

1.保健省によって家庭保健チームと一次医療施設が提供する優先NCD(高血圧・糖尿病など)サービスの内容が整理され、指導者研修が実施される。
2.レベル1地域において、家庭保健チームと一次医療施設によって優先NCDサービスが提供される。
3.レベル1地域において、RISSと地域保健局による優先NCDサービスに係る家庭保健チーム及び一次医療施設に対する監督・モニタリング・評価組織体制が構築される。
4.レベル1地域において、RISS、地域保健局及び保健省の運営管理能力・ガバナンスが強化される。
5.レベル1地域の経験と優良事例が全国で共有され、レベル2及びレベル3地域においてプロジェクト活動が拡大される。

活動

成果1に係る活動

1.保健省が対象地域における優先NCDに関する保健サービス提供体制・リファラルシステム・人材育成に関する現状分析を行い、課題・ニーズ(遠隔診療を含む)を明確にする。
2.保健省が優先NCDに対する地域保健局・RISS・家庭保健チーム・一次医療施設・二次医療施設の役割(サービス提供業務フロー)と連携方法を明確にする。
3.保健省が優先NCDについての指導者研修を計画する。
4.保健省が優先NCDについての研修教材を作成する。
5.保健省がレベル1対象地域の地域保健局とRISSに対して優先NCDについての指導者研修を実施する。

成果2に係る活動

1.優先NCD指導者研修の修了者がレベル1対象地域の家庭保健チーム及び一次医療施設に対して優先NCD研修を行う。
2.家庭保健チーム、コミュニティ、一次医療施設が、情報収集と分析と通じて優先NCDに関する家族・コミュニティの診断を行う。
3.家庭保健チーム、コミュニティ、一次医療施設がコミュニティにおける優先NCDに対するアクションプランを策定する。
4.保健省、地域保健局、JICAが優先NCDに関する活動計画の実施に必要な機材を供与する。
5.家庭保健チーム、コミュニティ、一次医療施設、コミュニティ保健ボランティアが優先NCDに対する活動計画を実施する。
6.家庭保健チームおよび一次医療施設が月ごとに活動の結果を分析し報告する。

成果3に係る活動

1.保健省が家庭保健チームや一次医療施設による優先NCDサービス提供及びリファラル・カウンターリファラルの状況に関するモニタリング及び報告ツールを策定する。
2.保健省がモニタリング・評価結果を家庭保健チーム及び一次医療施設の活動計画策定プロセスに反映する仕組みを構築する。
3.保健省が家庭保健チーム及び一次医療施設の監督を行う地域保健局やRISSの担当者に対し、監督・モニタリング・評価能力強化研修を行う。
4.地域保健局やRISSの担当者が家庭保健チームと一次医療施設を監督・モニタリング・評価し報告書を作成する。
5.地域保健局やRISSの担当者がRISSのアクター間の適切な調整(リファラル・カウンターリファラルを含む)が行われるためのメカニズムの開発および実践を行う。
6.一次医療施設及び家庭保健チームがモニタリング・評価結果およびリファラルに係る分析結果を踏まえた、優先NCDサービスの質向上計画を作成する。

成果4に係る活動

1.地域保健局、RISSと保健省が、月例報告を分析するためのモニタリング・評価組織体制・方法を構築する。
2.RISSが管轄内の家庭保健チームと一次レベル保健施設による優先NCDサービス提供状況を分析し、その結果を基に次年度のサービス改善計画を立案し実施する。
3.地域保健局、RISSと保健省が、優先NCDサービス改善のための投資計画(インフラ・機器、物品等)を策定する。
4.地域保健局とRISSが、定期的に活動報告を作成する。

成果5に係る活動

1.レベル1地域の地域保健局とRISSが主体となり、レベル2地域のRISSに対し、成果2、3、4の活動を実施する。
2.保健省がプロジェクト活動の教訓や優良事例を取りまとめた文書を作成する。
3.保健省が全国の地域保健局やRISSを対象にセミナー等を開催し、本プロジェクトで作成した研修教材やツール類、教訓や優良事例の共有を行う。
4.保健省と地域保健局が主体となり、レベル3地域のRISSに対し、成果2、3、4の活動を実施する。

投入

日本側投入

1.専門家派遣:保健システムマネジメント/プライマリーヘルスケア/非感染性疾患対策/モニタリング評価・デジタルヘルス/ヘルスプロモーション等
2.ローカルコンサルタント数名
3.機材供与:活動用資機材
4.活動経費:研修実施、教材作成等現地活動費

相手国側投入

1.カウンターパートの人材配置
・プロジェクトダイレクター:保健省RISS局長
・プロジェクトマネージャー:保健省一次医療部長
・ジェネラルマネージャー:保健省人材開発局長
・プロジェクト地域マネージャー:フランシスコ・モラサン及びエル・パライソ地域保健局長
2.施設・機材:プロジェクト実施に必要な事務所及び施設の提供
3.プロジェクトにかかわる現地経費(カウンターパートの人材に係る国内の旅費や手当等)
4.プロジェクト実施に必要な運用経費(電気、水道、通信、資材費等)