本邦短期研修生インタビュー(リグニン分析と草本植物の分子生物学研修)

2017年3月27日

2016年度、本プロジェクトでは、本邦短期研修生として、現地カウンターパートであるインドネシア科学院(LIPI)の研究者4名を派遣いたしました。うち、京都大学生存圏研究所に2016年12月1日より派遣され、2017年2月4日に帰国されたヘンドラさんにお話を伺いました。

日本での研究内容を教えてください。

「リグニン分析(注)と草本植物の分子生物学」をテーマとしていました。本プロジェクトの主要テーマの一つである「高発熱型バイオマス植物開発」において必要となる分子生物学的手法とリグニン分析法の修得を目指しました。

(注)リグニン分析:リグニンは木質バイオマスの主要成分であり、バイオマス燃料や石油製品の代替となる化成品への原料として注目されています。その評価のため、植物体に含まれるリグニン量や構成成分などの分析を行います。

インドネシアとの研究環境の違いを教えてください。

一般的には、インドネシアと日本ではそれほど大きな研究環境の違いは見られないでしょう。ただ、私の所属しているインドネシアの研究室と京都大学の研究室ということに限って比較してみると、洗練された器具、研究や実験設備等の充実ぶりに驚きました。研究者にとっては、より迅速、容易、効果的、そして正確な研究が行える環境でした。
さらに、最も印象に残っているのは、日本の研究者の皆さんが強い情熱をもち、集中して、しかも楽しみながら研究に励んでいる姿でした。毎日10時間以上に渡り研究に励み、一日一日で多くのことを成し遂げる姿勢に深い感銘を受けました。

帰国後、本研修の成果をどのように役立てたいですか。

今回の研修では、生物分子とリグニン分析についての技術と経験を引き上げることができ、自分自身、大変役に立ちました。今回学んだ経験を生かして、現地での分析試験を行うことで、高発熱型バイオマス植物の開発促進に貢献して参ります。また、インドネシアではまだ十分に知られていない手法も多いため、現地研究者の勉強会や発表会といったあらゆる機会を通して、情報や経験共有に努めたいです。

日本(京都)での生活はいかがでしたか。

日本は大変美しい国で、日本での生活は大変良い経験となりました。礼儀正しく、勤勉で、誠実、他人を思いやるというのが日本人の特徴であると感じました。京都ではイスラム教徒用のハラル食を手に入れるのも難しくなく、食事も良かったです。また、宿舎もどこにいくにも便利で安全で快適でした。ただ、日本の冬は想像以上の寒さで慣れるのに大変苦労しました。京都は歴史的な建造物に囲まれた都市で、抹茶や餅を楽しみつつ、伝統的な服を着た人々を多く目にしました。伝統を守っていくという気持ちを感じました。

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研究室の様子

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指導を受けるヘンドラさん