プロジェクト終了のお知らせ

2022年7月18日

2016年7月19日に開始された本プロジェクト「熱帯荒廃草原の植生回復を通じたバイオマスエネルギーとマテリアル生産プロジェクト」は、2022年7月18日に終了を迎えた。プロジェクトの後半である2020年に新型コロナウィルス(Covid-19)の世界的な感染拡大の影響を受けた結果、当初の協力期間を1年延長し、合計6年間のプロジェクトとなったが、日尼双方の関係者全員の不断の努力と協力により、全ての活動が成功裏に終了した。

プロジェクトとしては終了となるが、世界的にエネルギーが逼迫し、燃料価格が高騰する中、化石燃料からバイオエネルギーへの転換に対する社会からの要請は極めて高く、本プロジェクトに対する関心も、政府・民間企業を問わず、益々高まっている。そのため、プロジェクトで得られた研究成果をもとに、インドネシア政府・民間企業と連携した活動が今後、本格的に展開されることが期待される。

最近では、ジョコ大統領が東ヌサトゥンガラ州を訪問し、同地でのソルガム栽培に着目していることをSNSで発表したこともあり、インドネシア政府内におけるソルガム栽培振興への関心が高まっている。これらを契機ととらえ、本プロジェクトの成果の更なる発展を実現すべく、本プロジェクトの実施機関である国家研究革新庁(Badan Riset dan Inovasi Nasional:BRIN)がソルガム技術プラットフォームの設立に向けた働きかけをリードしている。また、日本でも、2022年に「ソルガム高度利用技術研究組合」が設立され、研究機関や民間企業との連携を図りながら、本プロジェクトで得られた知見も活用した活動が展開される予定である。

最後に、本プロジェクトのインドネシア側協力機関の組織改編について紹介する。プロジェクト当初よりカウンターパートとして活動を続けてきたインドネシア科学院(LIPI)は、2021年8月24日の大統領令により、BRINに統合され、初代長官には、LIPI長官であったDr. Laksana Tri Handokoが任命された。

BRINは、2021年5月の省庁改編により研究技術省(Kementerian Riset dan Teknologi Republik Indonesia:RISTEK)より独立し、大統領直属の機関となり、その後、LIPIだけでなく、技術評価応用庁(Badan Pengkajian dan Penerapan Teknologi:BPPT)、原子力庁(Badan Tenaga Nuklir Nasional:BATAN)、インドネシア航空宇宙研究所(Lembaga Penerbangan dan Antariksa Nasional:LAPAN)を加えた4機関の大規模な統合が行われた。インドネシア政府及びBRIN内部にて、この統合による組織体制の協議が数カ月に渡り続けられてきたが、2022年1月に新組織体制が発表され、新たな体制の下での活動が開始された。統合により組織の規模や権限が大きくなり、インドネシアの科学技術政策に対する影響力が強まると考えられる。BRINが本プロジェクトの活動成果を生かし、インドネシアにおける持続的な低炭素社会の実現に向けた取り組みが活発に展開されることを期待したい。

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ボゴール植物園内BRIN事務所

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Dr. Laksana Tri Handoko BRIN長官