あきらめない、ある女性の復興への決意

2019年7月4日

2018年9月に中部スラウェシ州で発生した地震により、ドンガラ県レロタタリ村では、473世帯1,653人が被災し、150件の家屋が甚大な被害を受けました。このうち、沿岸部での168世帯672人は津波による被害でした。

被災前、この地域では約70世帯の漁師が、テリと呼ばれるイワシの稚魚(シラス)の漁を行っており、多い時には一晩で2トンの水揚げがありましたが、この災害により多くの漁船や漁具、食品加工のための道具も流失しました。

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この村に住むラディアさんは1954年生まれで、今年65歳になります。夫には先立たれ、娘夫婦と孫と一緒に暮らしています。彼女は、長年、地域の特産品であるシラスの加工業に従事してきました。津波で被災し家を失いましたが、わずかに残った道具を利用して、あきらめずに仕事を続けています。

商品であるシラスは鮮度が落ちやすいため、水揚げ後すぐに浜辺で天日干しや蒸し焼きなどの加工を行う必要があります。ラディアさんは、こうして作った商品を、パル市の一番大きな市場ではなく、より高値で買ってくれる遠くの市場まで売りに行っています。

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パル湾で獲れたシラス

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蒸し焼きシラス

本プロジェクトでは、レロタタリ村の地域産業の再興と被災者の生計回復を目的として、水産局を通じた漁船・漁具の貸与による漁の再開支援や、これまで現地ではあまり見られなかったフライやお焼きなどの加工手法の紹介・真空パックにより日持ちを良くして商品価値を高めるためのトレーニング等を実施しています。

ラディアさんが所属するムティアラタタリ(Mutiara Tatari:タタリ村の真珠)というシラス加工者のグループも支援対象となっており、ラディア夫人は、「支援対象にこのムティアラタタリが選ばれたことをとても感謝しており、プロジェクトが終わる頃には、この小さなグループが自立した大きなグループになるように頑張りたいと思っています。」と意気込みを述べてくれました。

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市場へ販売に行くラディアさん

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蒸し焼きシラスの市場での販売

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ラディアさんのテントの前で撮影したラディアさんとその家族