自分たちの船で漁を再開!!-レロタタリ村シラス漁漁村生計回復支援-

2019年12月2日

本プロジェクトでは、中部スラウェシ地震とその津波によって被害を受けたドンガラ県レロタタリ村でシラス漁とその加工業を営むコミュニティを対象とした生計回復支援をパイロット事業の一つとして実施しています。

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レロタタリ村の漁師たちは地震・津波によって漁船や漁具を失い、また、自宅が損壊したひとたちは、海から離れた内陸の仮設住宅地に移りました。それでも、親戚や知り合いの船を借りたり、壊れた船に当座の修理を施したりして、シラス漁を続けようと努力していましたが、震災前の収入レベルには至らずにいました。
そこで本プロジェクトではドンガラ県水産局と協力して、シラス漁を生業とする男性の漁師2グループ(40名)を対象に、漁船・漁具の貸与による漁の再開支援およびグループ強化活動を実施してきました。

レロタタリ村には、船底を踏み鳴らして音を出しシラスを集めるという伝統漁法があり、それに適した特定の木から彫り出した船が必要だという漁師たちの希望がありました。また、村毎に代々受け継がれてきた船のデザインや、村のなかに同じ木からつくられた船があってはならないとする信仰もあり、漁師たちは、これら地域固有のニーズ・伝統を理解している地元の船大工に新しい船づくりを託しました。船大工が何世代にも渡り継承されてきた技術で丸太を削り出し、漁師たちも船大工を手伝い、船づくりのプロセスに参加することで、メンテナンス・修理の知識を改めて得ました。
2019年5月の船づくりの研修開始から活動を続け、2019年11月4日に、船外機・漁網・集魚灯など漁具一式を装備した最初の10艘の漁船が漁師グループに渡されました。引き続き、10艘が年内に引き渡される予定になっています。漁師からは、「今回のように漁師の要望に合致した支援を受けたのは初めてだ。これまで支援を受けた際に、事前に我々の船に対する要望を相談する機会がなく、調達された船や漁具だけが与えられるだけだった。」という本プロジェクトのアプローチを評価する声が上がっています。
プロジェクトでは会計管理の研修も実施し、漁師たちは初めて、費用・売上・利益の算出方法および毎日の水揚げの記録方法を学びました。これまではグループとしての活動は実質的には皆無でしたが、プロジェクト活動のなかで定期的に漁師グループの会議を開催し、グループメンバーが抱える問題の共有・協議、解決に向けた協働を促しています。共同資金の運用など、これから徐々に、グループとしての組織力をつけていくことが期待されます。

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海沿いの住居が地震・津波の被害に遭いました。

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生活の糧であるシラス漁の船も被害に遭いました。

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地元の船大工が、丸太から船底を削り出している様子です。

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グループ活動をつうじて安定した生計活動が営まれることを願って、漁船・漁具一式が貸与されました。

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新しい船で海に乗り出します。

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会計研修で、帳簿のつけ方を学んでいます。