震災被害を受けた橋の詳細点検

2020年1月9日

現在、国際協力機構(JICA)が震災復興支援事業を展開しているインドネシアの中部スラウェシ州で、地震被害を受けた橋梁の損傷状態を詳細に把握することを目的にインドネシア政府の道路総局とJICA調査団による共同の橋梁点検を行いました。

今回点検を行った2つの橋は一方が鋼製のトラス橋、もう一方が鉄筋コンクリート橋と主な材料や構造的特徴が違っており、また建設後の経過年数も異なるため、それぞれの橋梁に応じた点検箇所や方法を選びました。これまでコンクリートの品質を確認するためには、現地から試験片を採取する方法が一般的でしたが、この方法は同時に構造を痛めることにもなります。このため試料片の採取を減らして、代わりに非破壊試験と呼ばれる電磁波等を用いた新しい方法も併用して点検を実施しました。また、今回対象の2橋とも比較的交通量が多く、地元住民の生活道路上に架かる橋のため、交通規制を抑えることも配慮した点検の計画を立てました。

今回の点検により、通常の現地立会では分からなかった新たな損傷も確認することができました。今後は、得られた損傷箇所や各種試験結果を整理し、後に続く補修・補強設計の基礎資料として利用される予定です。

また、現地政府関係者への技術移転のため、11月25、26日の両日に現地政府機関の若手技術者を現場に招き、点検技術の実演や意見交換等を行いました。現地政府関係者は、非破壊試験による点検作業を見るのは初めての方がほとんどであったため、「この点検装置の画面の見方は?」「なぜこの装置でひび割れ深さが分かるのか?」…など質問を多く受け、本調査に興味を持って頂けました。

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鋼を主材料としたトラス形式の橋。建設年は不明でした。

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コンクリートを主材料としたアーチ形式の橋。この形式は日本国内でも少ない。

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コンクリート片採取の様子。

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電磁波を使用した非破壊試験の様子。

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交通規制期間を短くするため、高所作業車を用いて点検を行いました(右奥)。

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現地政府の若手職員を現場に招き、点検内容説明や意見交換を行いました。

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現地説明会参加者一同での記念撮影。