インドネシアの人々が創造する復興に向けて-釜石市・東松島市職員を招き、現地で生業回復・コミュニティ再生支援マニュアル公開セミナー開催-

2020年1月15日

本プロジェクトでは、2019年1月から、重要な活動の柱の一つとして、生業回復・コミュニティ再生の支援を、被災自治体と共に行ってきました。そして同年12月に、支援の現場で実証した取組みのポイントや留意点などをまとめた自治体職員向けのマニュアルが完成しました。マニュアルには、コミュニティにおける共助の仕組みを強化すること、そのための自治体職員や関係者の役割、留意点などがイラスト入りでわかりやすく記載されています。今後は、他の地域でのマニュアル活用や将来の災害対応時にも活用されることがインドネシア政府により期待されています。

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インドネシア開発企画庁(BAPPENAS)が製本したマニュアル(右)と持ち歩き版マニュアル(左)

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ジャカルタのセミナーで挨拶するインドネシア国家開発企画庁(BAPPENAS)Dading局長

そこで、12月18日にジャカルタで、12月20日に中部スラウェシ州の州都パル市で、インドネシア国家開発企画庁が印刷・製本を手がけた同マニュアルの公開セミナーが、開催されました。セミナーでは、マニュアルに事例として記載されている、災害で仕事を失った人々などを対象にした大工養成研修、食品加工、手工芸品づくりなど、生業回復支援の取り組みがインドネシア政府・自治体関係者から共有されました。パル市の商工局長は、「地元の文化を大切にしながら、コミュニティと共に今後も知恵を絞って新しい生業回復の手段を考えていきたい」と、被災者に寄り添い生業回復支援に取り組んでいく決意を述べました。
同セミナーには、2011年の東日本大震災からの復興にたゆまず従事されている東松島市川口さん、釜石市金野さんを招いて、復興の経験を共有していただきました。川口さん、金野さんはマニュアルでも強調しているコミュニティによる「共助」の大切さ、被災者に寄り添う復興の大切さを、自らの体験をもとに共有しました。金野さんは、「このような生業回復支援のためのマニュアルは、大変貴重なものです。自治体職員がマニュアルを活用し、被災者に届く支援が行われることを願います」と熱く語っていました。

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東松島市川口さん(中央)と釜石市金野さん(左)の発表

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セミナー後、BAPPEDA局長らと集合写真@パル市

マニュアルは棚に置くものではなく、使ってその価値が出るもの。「インドネシアに元来ある共助の精神が昨今薄れがち、プロジェクト活動やマニュアル作成を通じ共助の精神の大切さを再認識した」「復興を進めるために、このマニュアルを活用していきましょう」と、11月に東松島市、気仙沼市など東日本大震災の被災地を訪問した中央スラウェシ州開発企画庁長官が参加者に呼びかけました。
中部スラウェシでの災害復興に取り組むインドネシアの関係者皆さんが、引き続き、被災者に寄り添い、今後も中部スラウェシの被災者が実感する復興が着実に進んでいくことを心から願い、プロジェクト関係者と協力を続けていきます。

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仮設住宅内の仮設食堂

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仮設食堂の皆さんと