プロジェクト概要

プロジェクト名

(和)土地管理体制強化プロジェクト
(英)Project for Capacity Development for Land Acquisition System Improvement

対象国名

インドネシア

署名日(実施合意)

2017年5月24日

協力期間

2018年3月15日から2022年10月31日

相手国機関名

(和)土地空間計画省/国家土地庁
(英)ATR/BPN(Ministry of Agrarian Affairs and Spatial Planning/National Land Agency)

背景

インドネシア国における公共事業用地の取得手続きは、土地基本法(1960年第5号)を法的根拠として実施されてきた。しかしながら、同法は土地収用手続きの詳細を定めたものではなく、また、用地取得側の実施能力不足、用地提供者側の不同意(価格不調、権利者の特定困難)等の理由もあり、実際の用地取得は容易ではなかった。また、2005年の大統領令36号により公共事業用地取得に強制収用の適用が可能となったが、同大統領令及びその改正令である2006年の大統領令65号は関連制度の不備、手続きの不明確さ等のため、十分に適用される機会がなく、土地収用は引き続きインフラ整備を阻害する大きな要因となっている。
こうした状況を受け、2012年に土地収用法(以下、「新法」)が新たに制定された。また、関連する、大統領令(2012年第71号)、国家土地庁(BPN)令(2012年第5号)、内務省令(2012年第72号)、財務省令(2013年第13号)が整備、施行され、今後の新規事業の土地収用を円滑に進めるための法制度面での整備は進みつつある。
新法では土地収用にかかる一連の手続きとそれら手続きの責任機関、及び各手続きの処理期間が規定された。具体的には、公共事業用地の取得手続として、1)計画、2)準備、3)実施、4)権利移転、の4つのプロセスが定められ、計算上は事業者が州知事に事業計画を提出した日から最長でも583日で土地収用手続きを完了させることが出来る内容となっている。
しかしながら、新法により、公共事業用地取得の3)実施及び4)権利移転の責任機関は制度上、事業者や州・県・市等の地方政府の手を離れ、国家土地庁(BPN)(注)2014年の新政権発足に伴い、BPNは「土地空間計画省(Ministry of Agrarian and Spatial Planning)/BPN」と改組、以下ATR/BPNとする)の所掌事務として整理されたものの、現状では、ATR/BPNは用地収用に必要なノウハウ、人材、組織体制、機材等を十分に有していない。このため、公共事業用地の確実、かつ迅速な取得を実現するためには、前述の法制度整備のみでは不十分であり、早急なATR/BPNの能力強化が求められている。
かかる背景から、新法の下で土地収用の実施を担うこととなったATR/BPNの能力強化を目的とする技術協力が日本政府に要請された。

目標

上位目標

ATR/BPNの所掌する土地収用プロセス(実施・受渡)がSOP及びマニュアル/ガイドラインに沿って実施される。

プロジェクト目標

ATR/BPNの土地収用実施にかかる能力が強化される。

成果

1.円滑な土地収用に必要とされる制度(SOP、マニュアル/ガイドライン)やシステム(情報共有データベース等)が強化される。
2.土地収用に関わる職員の技術・知識(SOP、用地測量、土地評価照査等)が向上する。
3.土地収用に関係する機関を調整するATR/BPNの機能が強化される。

活動

成果1関連

1-1.土地収用にかかる法制度の枠組みを効果的な実施、公正な補償の観点からレビュー
1-2.ATR/BPN本部、州及び土地事務所の土地収用に係る組織体制をレビュー
1-3.土地収用の計画、準備、実施、権利移転に係る統合実施図書(土地収用計画図書(DPPT)、標準手順書(SOP)等)の作成及び役割と責任を整理
1-4.調査、用地測量、丈量図、補償検証、登記などにかかる実務的なマニュアル類等、補助図書の整備
1-5.土地収用情報システム(SIPT)の適用範囲拡張のためのITシステム改善への支援
1-6.未登記地の登記促進、パーセルベース土地評価、ゾーンベース土地鑑定マップの改良、土地空間開発、土地区画整理、土地権利、また、戦略5か年計画(Renstra 2020-2024)に定められている土地銀行、土地経済、管理および開発等の関連業務への支援

成果2関連

2-1.活動1-3で作成されたSOPをもとに土地収用実行のためのモバイルシステムと3次元計測システムを含むトレーニングマニュアルの作成
2-2.本邦研修及び本邦招へいの実施
2-3.土地事務所でのOJTによる業務支援やトレーニングを通じてATR/BPNの能力向上
2-4.選定した土地事務所においてトレーニングの事後評価、モニタリングの実施

成果3関連

3-1.土地収用計画図書のチェックリスト、段階間で引き渡される土地収用情報の標準レベル確認の作成、及び土地区画整理ガイドラインのレビュー
3-2.事業者、地方政府、ATR/BPN間でパイロットプロジェクトの共同実施計画の作成、及び関係者間の調整促進システムの確立
3-3.リスク軽減策を含むプロジェクト影響住民の補償物件、交渉、合意の経過を整理するモデル図書の実行と拡張SIPTの試行
3-4.土地収用にかかるパイロットプロジェクトを通じて、活動1-3で作成されたSOPの適用性及び必要な改善の特定、並びに土地区画整理ガイドラインの適用性の確認。
3-5.パイロットプロジェクトを通じて習得した問題解決を取りまとめ、関係者間を横断する政策的課題に対する新たな基準作成の背景となる課題項目の整理
3-6.プロジェクトの成果物を普及させるためのWSの開催とビデオ資料の作成

投入

日本側投入

専門家派遣

・長期専門家2名:制度設計/土地収用計画 1、業務調整/土地登記/研修計画 1
・短期専門家3名:土地評価/土地権利/土地開発 1、地籍測量/計測 1、GISマッピング/システム開発 1

現地コンサルタント、機材

・ドローンシステム
・GISソフトとサーバー
・ワークステーション
・3次元計測システム

ワークショップ、本邦研修

相手国側投入

カウンターパートの配置

・プロジェクトダイレクター
・プロジェクトマネージャー
・各活動のカウンターパート

プロジェクト実施に必要な事務所及び施設の提供

プロジェクト実施に必要な運用経費