プロジェクト概要

プロジェクト名

ASEZ都市開発マスタープラン更新プロジェクト

対象国名

ヨルダン

署名日(実施合意)

2022年5月24日

協力期間

2022年9月9日から2024年9月8日

相手国機関名

アカバ経済特区庁(ASEZA)及びアカバ開発公社(ADC)

背景

ヨルダンの首都アンマンの約350キロメートル南に位置するアカバは27キロメートルに渡るサウジアラビア及びイスラエルとの国境にはさまれた当国唯一の海岸線を有し、紅海と内陸をつなぐ戦略的に重要な場所として古来より地域の交易や交通の要所としての役割を担ってきた。

アカバは当国及び周辺地域の貿易と物流のゲートウェイとしての機能に加えて、国の経済をけん引する重工業の拠点であり、またペトラ遺跡、ワディラムと黄金の三角地帯(Golden Triangle)として当国の観光開発の一翼を担っている。

また、サウジアラビアとイスラエル、エジプトを結ぶ海上交通の要所であるため、アカバは人口約20万人ながら、ヨルダンにおいて唯一海に接する特徴的な都市であり、国の安定的な成長と地域の安定のために重要な役割を担っている都市である。ヨルダン政府は2000年にアカバ経済特区法を制定し、同法に基づき2001年に設立されたアカバ経済特区庁(ASEZA)は、2004年に設立され公有資産の保有と開発実施機関の役割を担うアカバ開発公社(ADC)と連携してアカバ経済特区(ASEZ)の計画策定及び開発を推進してきた。同法により、ASEZAはASEZ地域の開発を一元的に担う独立した行政組織となり、首相へ直接報告を行う機関として大きな権限が与えられ、経済特区開発の財政運営の責任と、ASEZ内の行政サービスの提供、都市計画の策定、公共インフラの整備を含む自治体業務を担っている。
ASEZAは設立と同時に2020年を目標年次としたマスタープランを策定し、同マスタープランを基本方針として、都市開発や産業開発のため多額の投資のコミットメントを取り付け地域の開発を促進してきた。人工的に建造された17キロメートルに及ぶ海岸線を含む商業・住居複合施設の大規模開発や観光施設整備、港湾・空港の拡張等の同地域の経済活動の活性化や都市の魅力向上に向けた取り組みが実施されてきている。同地域への投資は、観光セクターが最も大きな投資先であったが、同分野は近年の新型コロナウイルス感染症の拡大の影響を大きく受けており困難な状況に直面している。

マスタープランは2011年に更新する必要があり、そのためASEZAにより現地のコンサルタントが雇用されたが、十分な状況把握と課題分析なしに土地利用計画等が提案されたため、ASEZ内にてマスタープランの更新の承認には至らなかった。そのため、2021年以降有効なマスタープランがなく、近年ASEZには2地区が追加されることが決定されたが、新たな地区の開発方針を含むASEZ全域の包括的な計画もまだ策定されていない。

これらに加えて、気候変動や持続可能な開発目標(SDGs)への対応、脱炭素社会の構築、等を含む地球規模課題への取組み、デジタルトランスフォーメーションの重要性が増す中で、ASEZAでは管轄する全域の将来ビジョンや戦略を指し示すためマスタープランの策定がASEZAにおいて喫緊の課題とされている。現地の情報・データ把握と分析に基づく根拠のある開発計画を、住民や企業を含むまちづくりの関係者の参画促進を行いつつ、地球規模課題への取組み方針を含むマスタープランとする更新への期待から、日本政府にその支援を要請され、実施されるものである。

目標

上位目標

本事業によって更新されるASEZマスタープランが都市開発の指針となり、アカバ地域の持続可能な成長が促進される。

プロジェクト目標

本事業によって更新されたASEZマスタープランが、ヨルダン政府に承認され、都市開発マスタープランの戦略等に基づくアカバ地域の魅力ある都市開発が実現する。

成果

ASEZマスタープランがレビューされ、更新される。

活動

1)ASEZの現況把握及び課題分析
2)ASEZの開発ビジョン及び戦略策定
3)土地利用計画の策定
4)主要セクターの戦略策定
5)戦略的優先事業案及び実施戦略の提案
6)戦略的環境アセスメント(SEA)の実施
7)組織及び個人の能力強化

投入

日本側投入

1)調査団員派遣(合計約33.5M/M):(業務主任者/都市計画/スマートシティ、空間計画/土地利用計画、社会経済フレームワーク/投資計画、産業開発/観光開発、交通・物流、洪水管理/気候変動、環境社会配慮/SEA/環境管理、建築/景観デザイン)
2)研修員受け入れ(都市計画等の分野での課題別/国別研修を想定)
3)その他

相手国側投入

1)カウンターパートの配置
2)案件実施のためのサービスや執務室を含む施設、現地経費の提供