採種園の造成

2013年6月4日

2012年9月から2013年1月まで、本プロジェクトではメリアの採種園を2箇所造成しました。本プロジェクトは乾燥地耐性育種が目的ですから、その対象樹種を増殖して種子を採取するための採種園をつくることが、全ての出発点となります。

その第1年目の作業は、おおよそ次のような段取りで進められます。
1)ケニアの約東半分を占める乾燥地において、形状等が優れているメリア(プラス木)60本を選び、それらから接ぎ穂を2箇所分計60本ずつ採取し、予め用意しておいた台木に接木して、優良苗木を3600本作る。
2)これらの苗木を植えるために、2箇所の採種園用地(各約14ヘクタール:東京ドームの約3.5倍)を準備する。
3)それぞれの苗木間の将来の自然交配を考慮しながら植栽位置を設計し、それぞれの植え穴と苗木にタグを付けて、位置を確認しながら植え付ける。
4)必要に応じて、水遣り、雑草取り、剪定、サポート用支柱の設置等のケアをしつつ、病害などにも注意を払いながら育てる。

活動計画では、現地の雨季の始まりを考慮して、1)を8月から9月、2)を9月から10月、3)を11月、4)をそれ以降としていました。しかし、諸般の事情から作業の遅れが生じ、3)の植付けが終了したのは、キツイ採種園が12月初め、キブウェジ採種園が1月末でした。植え付けたばかりの苗木は非常にデリケートで、乾燥地耐性樹種とは言いながら、この段階では適度な水分が重要です。そのために、この植え付け時期を現地の雨季(10月下旬から12月半ば)前に設定して、植え付け直後に必要な水分が十分得られるようにと考えていました。12月初め植え付け完了のキツイは何とかギリギリこの時期にかかりますが、1月末に完了のキブウェジは大きく外れてしまいます。このためキブウェジでは植え付け直後からしばらくは水遣りが欠かせませんでした。幸いなことに今年は例年に比べて雨が多く、その後は両採種園とも十分な雨量に恵まれました。

2013年5月初旬現在、作業は上記4)の段階が進行中ですが、特に大きな問題はなく苗木の成長は概ね順調で、活着率は両採種園とも95パーセント以上です。なお、これらの採種園の植え付けには、(独)森林総合研究所林木育種センターから、宮下、山野邊、千葉、坂本の各短期専門家が来訪され、現場の技術者や作業員に丁寧な植栽指導を行いました。

(なるみ・おざわ)

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接ぎ木作業

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接ぎ木後の苗木管理

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採種園の整地(キツイ)

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採種園の整地(キブウェジ)

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苗木のクローン別管理

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植付け直後の苗木

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水遣り(キブウェジ)

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剪定

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生育データの検討

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ワーカーへの作業指導

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2013年5月初旬のキツイ採種園

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2013年5月初旬のキブウェジ採種園