キブウェジ採種園

2013年6月4日

ナイロビの南東約200キロメートル、キツイの南約150キロメートルに当たるところにキブウェジという町があります。この町は、首都ナイロビと港湾都市モンバサを結ぶ主要国道の中間地点にあり、晴れた日には南方向に、アフリカの最高峰キリマンジャロを望むことができます。この町にはケニア森林研究所のサブステーションが置かれていて、キツイ地域拠点センターの管轄になっています。サブステーションですから、大規模な試験地などはありませんが、町から15キロメートルほど離れたところにナイロビ大学が広大な農場を有しており、この一部を本プロジェクトの採種園用地に借り受けることができました。

キブウェジというところはケニアの半乾燥地の中でも比較的乾燥が厳しいところで、バオバブの林立がそれを顕著に表しています。星の王子様で有名なこの樹は、太っちょの幹の内部に十分な水分を貯められるので、ケニアの乾燥地帯にはたくさん生えています。採種園の予定地も例外ではなく、14ヘクタール(東京ドーム3.5個分)の面積の中に、如何にバオバブを含まず、日陰などの影響を受けないようにするか、測量チームは用地の線引きにかなり苦労しました。試行錯誤の結果、結局2本だけ含むという形で決着し、造成を始めたのが2012年12月3日でした。

1月末に植え付けを完了するまで、途中のクリスマス休暇や雨季の影響などもありましたが、先に完了していたキツイでの経験も役立ち、要領良く作業が出来ました。ただ、本来キツイと同時進行で造成することを想定して準備した苗木は、この2ヵ月の遅れで約500本が枯死してしまい、1800本植え付けの目標が1300本の植え付けとなりました。この不足分は、2013年の植え付け時に補填する予定です。1月末という時期は例年なら雨季は終わっていますが、今年は雨季が長引き、ここでも比較的多い雨量に恵まれてラッキーでした。しかしながら念のため、3月下旬の次の雨季の開始まで週2回程度の水遣りを継続しました。

5月初旬時点で植付け後約3ヵ月が経過しましたが、最も背丈の高いものは既に2メートルを越えています。乾燥耐性樹種であるメリアは本来乾燥地を好むので、キブウェジの気候は相応しく、採種園の土壌は比較的砂質なのでその点でも望ましく、遠くにキリマンジャロを見晴かしながら、活着率98パーセントでぐんぐん成長しています。

(なるみ・おざわ)

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国道からのキリマンジャロの眺め

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用地測量でバオバブに付けた目印

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付近住民への作業告知バナー

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ブルドーザーを入れて整地作業開始(2012年12月3日)

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徐々に切り開かれる採種園用地

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整地完了(2013年1月初旬)

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植付けライン測量(2013年1月初旬)

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鋤入れ、測量完了(2013年1月中旬)

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植付け、水遣り作業

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植付け作業チーム(完了後記念撮影)

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2013年2月下旬(1ヵ月経過)

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2013年3月下旬(2ヵ月経過)

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2013年4月中旬(2ヵ月半経過)

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2013年4月下旬(3ヵ月経過)

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2013年5月上旬(3ヵ月半経過)