病害の発生

2014年5月15日

虫害が収まったかと思ったら、以前からじわじわと出ていた病害が目につくようになり、段々と深刻なレベルになってきました。ほとんどの症状が、接ぎ木をした部分を中心に周囲が黒褐色に変色してヤニを出し始め、進行すると葉を落としてついには枯死するものです。この症状は、キツイ採種園でもキブウェジ採種園でも同様に見られることから、苗木の段階での何らかの感染が疑われました。

そこで、日本の(独)森林総合研究所とケニア森林研究所(KEFRI)の樹病学の専門家にお願いして、診断していただくことになりました。双方の専門家は、2013年8月から9月にかけ現地で詳細な調査を行い、患部のサンプルを採取して研究室で培養実験をし、さらに接種試験を経て、種名までは特定できませんがLasiodiplodia属の病原菌によるものと分かりました。

これと並行して、薬剤をスプレー散布するとともに、患部をナイフで除去する外科的な治療も実施してみました。幹の表面にできた患部を完全に除去するために、かなり深くまでナイフで削り込みます。樹皮の下で意外と広がっていることが多く、その範囲は全面的に削り取ることが必要です。削った患部の表面には、日本から持ち込んだ薬剤を塗り込んで治癒を促しました。

地道な作業が効果を上げて、多くの感染木が回復し、枯死を免れました。外科的な治療で樹皮をほんの1センチメートルの幅だけしか残せなかった感染木でさえ、数か月でみるみる再生してくるメリアのたくましさを、ここでも見せつけられました。虫にも負けず、病原菌にも負けず、元気にすくすく育っておくれと、今日も祈っています。

(なるみ)

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感染木から滲出したヤニ

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患部を削り取り、薬剤を塗布

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野外での感染木の調査

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採取した菌の培養

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培養した菌の接種試験

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接種後1週間の発症状況

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外科的処置後約3か月の回復状況