2014年6月までのまとめ

2015年10月1日

約1年ぶりの更新ですが、皆様お元気でしょうか?私たちのプロジェクトは2012年7月に始まりましたので、前回更新の2014年6月までで、ちょうど2年です。その間に活動内容が段々と多岐にわたってきたので、今回第3年目の話題に入る前に、一度簡単に整理してみたいと思います。さて、前回までのあらすじは…

第1年目:2012年7月〜2013年6月

私たちのプロジェクトは、その名称が示す通り、乾燥地耐性のある優良木を育成することです。そこでまずは、出発点となる優良種子の採種から始まることになります。対象樹種は、Melia volkensii(メリア・ボルケンシー、以後メリア)という日本のセンダンに近い樹種です。このメリアの優良木をケニア中から100本(系統)選抜して、それを接木してクローンを作り、2ヶ所の採種園に3000本(100系統×30本)ずつ、3期(60系統、20系統、20系統)に分けて植えていきます。採種園は、1ヵ所の大きさが東京ドームの約3.5倍という規模で、自然条件が異なるキツイとキブウェジという町に造成しました。

広大な用地の確保や苗木生産でいろいろと困難がありましたが、関係者全員の努力が実り、2013年1月には第1期分の植栽目標をほぼ達成することができました。その後、苗木たちは順調に成長し、活着率90%以上で、約30センチメートルの高さの苗木が半年で約2mに育ちました。これらの苗木は将来的には採種用の親木になるのですが、同時に優良木の生育を調査する研究対象でもあります。現地カウンターパート機関であるケニア森林研究所(KENYA FORESTRY RESERCH INSTITUTE:KEFRI)と日本側協力機関である(独)森林総合研究所 林木育種センター、九州大学の研究者の方々は、プロジェクト開始早々様々な研究活動に取り掛かり、慌ただしく第1年目が終わりました。

第2年目:2013年7月〜2014年6月

第2年目には2回目の植栽を、2ヶ所の採種園で合計約5000本実施しました。こちらも活着率90%以上で順調に推移していましたが、この期間に虫害と病害に見舞われたりして、大きなロスも出ました。しかし、これらの困難を克服した優良木たちは、更にグングン成長し、植栽後たった1年で樹高6mを超すものも現れて既に林の体を成すまでになりました。また第2年目には、キツイ(ティバ)採種園に付属施設として「管理・事務棟」、「観察塔」、「トイレ」を建設しました。2014年2月にはこれら施設のこけら落としの式典を盛大に行い、私たちのプロジェクト活動がケニアの人々に段々と知られるようになりました。

いうなれば、この2年間はプロジェクトの基礎固めをやってきたわけですが、ほぼ所期の計画どおりに実施され、第3年目以降の発展に大きな期待をつなぐことになります。この重要な基盤作りの仕事を無事に終えて、2014年7月に初代チーフアドバイザーの小澤眞虎人氏が帰国しました。代わって6月より着任した武田祐介氏がその任務を引き継ぎ、第3年目を快調に飛ばして来ました。

(なるみ・たけだ)

【画像】本プロジェクトの概要図による進捗確認(黄色線より上が2年目までの活動、下が3年目からの活動)

【画像】メリア育種分野の活動図による進捗確認黄色線より上が2年目までの活動、下が3年目からの活動)

【画像】

【画像】

キツイ採種園の2年目(2014年7月)

【画像】

キブウェジ採種園の1年9か月目(2014年6月)