第3年目のキツイとキブウェジ採種園の状況

2015年10月1日

この2ヶ所の採種園には、それぞれ3000本のメリアの苗木が植栽されることになるのですが、第2年目までに約2400本の植栽が完了していますので、第3年目には残りの約600本が植えられることなります。前年までの作業と同様、台木を生産し、これに優良木の接ぎ穂を接木して育成し、2014年12月上旬に植栽完了しました。

結局、足掛け3年で植えてきた苗木たちですが、それぞれの年で、成長の速度が全く違います。初回のものは1年で樹高6m以上、胸高直径15センチメートル以上に育つという凄まじいパフォーマンスを見せましたが、2回目のものはその半分以下のパフォーマンスで、3回目のものは更にその半分以下というような状況です。

何故か?毎年同様に準備した苗木に差異はないし、同じ採種園の中に同様に6mの樹間を保って植栽し、植栽後のアフターケアも同様に施しています。それでもこんなに成長の差が出るのは何故か?「それは、競争の厳しさの違いだよ。」と経験豊富なフォレスターが教えてくれました。そう言われてみれば、初回のものが大きく育って枝葉を広げ、その影響で若干日当たりが悪くなったところに植えた2回目、3回目の苗木ほど成長が良くありません。同様に、土中では水の競争が起きていることも想像できます。

木はものを言いませんが、恵まれた環境の採種園の中でさえ、このような生存競争を黙って繰り広げているのかと思うと、「君たちも大変だね。」と思わず語り掛けずにはいられませんでした。すると、くだんのフォレスターがまた言いました。「大丈夫、生きてさえいればいつか必ずチャンスが来て、先輩たちを追い抜いていける日が来るから、たとえ今の成長が遅くても問題ないよ。」なんだか、人生訓を聞いているような気になりました。

このように彼らの間には熾烈な競争があるのでしょうが、採種園全体としては、その後の病害などもなく順調に生育してきました。そして、第3年目が終わろうとする今日、多くの初回植栽木は、既にたわわに実をつけて、母樹としての役割が果たせるようになりました。さあ、これからいよいよ採種園としての機能が始動します。

(なるみ・たけだ)

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キツイほぼ定点観察1(1年3か月後)

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キツイほぼ定点観察2(1年7か月後)

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キツイほぼ定点観察3(2年3か月後)

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キツイほぼ定点観察4(2年7か月後)

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キツイ第3回目植栽(2014年12月)

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植栽後約2年半で堂々たる母樹ぶりです

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乾季は葉を少なくして休眠状態です

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雨季は葉を茂らせて一気に成長します

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何mに育ったかな?(キブウェジ2年目)

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キブウェジ管理棟の工事開始です

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約2か月の工事で管理棟の完成です

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幹線道路からの100mアプローチ道です

【画像】【キツイ採種園植栽図】全6区画に合計3000本のメリアが植栽されました。各マスの中の数字はクローン番号で、1クローンが30本植えられています。

【画像】【キツイ採種園植栽図】ここには大小のバオバブが2本あるので、それを避けて全部で3000本のメリアを植えています。圧倒的にそびえるそのバオバブは、採種園のシンボル的存在です。