検定林(Progeny Test Site)の造成

2015年10月1日

優良木の遺伝子を持った母樹たちは、優良な種子を作るはずです。でも、その種子の優良性を検定しなければ確認はできません。ということで、第3年目からはこの検定のための準備が始まりました。私たちのプロジェクトが選抜したメリアの優良木は、全部で100系統ですが、これらの優良性を科学的に検証するわけです。既にあるキツイとキブウェジの採種園付近にそれぞれ1ヵ所ずつと、北部のマリマンティ、南部のカシガウというところに、合計4か所それぞれ約3ヘクタールの検定林を造成することになりました。緯度でいうと、マリマンティが00度(ほぼ赤道直下)、キツイが南緯01度、キブウェジが南緯02度、カシガウが南緯03度と、約1度ずつ南にずれていきます。

ケニアの道路事情は、他のアフリカ諸国に比べるとかなり良好だそうですが、それでも少し地方に出ると、未舗装のラフロードが結構あります。上記4か所の内、ナイロビから舗装道路で行けるのは、キツイとキブウェジのみで、マリマンティとカシガウは途中数十キロのラフロードをたどります。ナイロビから各地点への所要時間は、キツイとキブウェジが約4時間、マリマンティが約5時間、カシガウが約7時間です。検定林の造成場所については、メリアの適性、気候条件の多様性、管理の利便性等々、様々な角度からの事前検討を行い、候補地を絞り込みました。

2014年10月に造成チームを組んで現地調査に赴き、荊の雑木林を歩き回って具体的な造成場所を策定し、現地の土地所有者との協議も終えました。さあ、では11月下旬の植栽に向けて、すぐにブルドーザーを入れて整地にかかろうという段階になって、問題発生です。播種時期の低温のせいで十分な発芽苗が得られず、更に育苗のプロセスにおいても苗数が減少してしまい、当初の検定林造成計画を大幅に見直さざるを得なくなりました。最終的には、確保できた苗木の本数に応じて整地面積が縮小され、ブルドーザーはキツイとキブウェジだけで使用し、マリマンティとカシガウは地元のワーカーによる手作業での整地となりました。

しかし、このような成り行きには意外な収穫がありました。地元ワーカーを整地に使ったところでは、彼らは現金収入を得ることができて、私たちのプロジェクトをいっそう歓迎してくれたのです。造成後は月に2回、現地の巡回に行っていますが、今から次の作業をとても期待されています。汗を流してもらって、彼らが自分たちのメリア林と思ってくれることは、地元との協力の上で非常に大事なことですから、次の整地も人海戦術にしようとケニア側カウンターパートと話しています。

(なるみ・たけだ)

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この方向に100m伸びます(カシガウ)

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地面の鋤入れはOKです(カシガウ)

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フェンス工事中です(カシガウ)

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管理員詰所も完成しました(カシガウ)

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ブッシュに分入り区画中(キブウェジ)

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ブルの整地作業遠望(キブウェジ)

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鋤込み作業完了確認中(キブウェジ)

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750mに及ぶフェンス(キブウェジ)

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区画起点杭打ち中(キツイ)

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やっと整地ができました(キツイ)

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雨中の鋤込み作業は泥まみれ(キツイ)

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ここがエンドです(マリマンティ)

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区画測量作業中です(マリマンティ)

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人力の整地を地元は歓迎(マリマンティ)

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フェンシングも完璧(マリマンティ)