メリアの市場調査と材質調査

2015年10月1日

メリアには様々な用途が期待されていることを既にお話しましたが、最も一般的な用途は材木としての用途でしょう。特にビジネスの観点からいうと、如何に価値のある材木が生産できるかということが、メリアを植栽する人々には最大の関心事となります。乾燥地耐性育種を研究して「クオリティーシード」を開発し、その効果的な普及システムを強化することを目指す私たちのプロジェクトにとって、このようなインセンティブは非常に重要です。

メリアは一体どのような流れを経て市場に出ていくのか、また、どのようなニーズが各段階で求められているのか、を明らかにするために、種子採種業者、苗木販売業者、木材生産者、木材流通業者、木材加工業者等を対象とした市場調査を2013年10月に行いました。この作業は、ケニア森林研究所(KEFRI)のルバンダ氏やムショキ女史を中心に、小澤、武田2代にわたるチーフアドバイザーが参画して進められ、その結果を分析して2015年2月に一冊の報告書にまとめられました。

この報告書によると、一連の流れは、段階的に概ね次のようになっているようです。1)農家がメリアの種を採種して外皮を剥きナッツ状態にする。2)そのナッツを買い取って種を取り出す。3)その種を買い取って苗畑で苗木に育てて販売する。4)苗木を買い取って自分の植林地に植える。5)伐期に至った木を伐採して木材にする。6)それを買い取って建材などとして販売する。7)家具などの木工品材料とするための加工を施して販売する。8)最終製品として消費者の手に渡る。これらの過程は、複数の段階を一貫して行っているケースもあれば、農家の副業的に各段階を細々と行っているケースもあるようです。今後、普及活動を実施するにあたり、この市場調査の結果は活動のデザインに大いに役立てることができます。

一方では、メリアの材質としての価値を科学的に確認する作業が、2014年5月から始まっています。この作業は、(独)林木育種センター(FTBC)の宮下氏とケニア森林研究所(KEFRI)のネリ女史を中心に段階的に進められています。サンプル材を採取して、ケニア森林研究所の木材加工センターで様々なデータを取って分析したり、プロジェクトの2つの採種園に植わっているメリアの幹の密度を測ったり、という一連の調査が行われました。そして、2015年3月には、宮下氏のサポートの下、ネリ女史が日本木材学会の例会で、それまでの成果をプレゼンテーションして、メリアの優位性をアピールしました。

(たけだ・なるみ)

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メリアの種を採種する農家での聞き取り

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種を前処理する業者での聞き取り

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苗木を生産する苗畑での聞き取り

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丸太を製材する業者への聞き取り

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木材流通業者での調査

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木材加工業者への聞き取り

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サンプル材の切り出し

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サンプル材の円盤

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サンプル材の測定

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木材試験機(ピロディン)の使用法説明

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木材試験機を使っての調査

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メリアの市場調査報告書