プロジェクト成果発表会(国際コンフェレンス)

2017年7月18日

2017年2月13〜16日に、本プロジェクトの成果発表会を開催しました。参加者は総勢約70名で、本プロジェクト関係者全員、林業セクター関係者代表、エチオピア、タンザニアからの研究者のほか、ケニアの環境・天然資源大臣、駐ケニア日本国大使、JICAケニア事務所長、林木育種センター(FTBC)所長にもご臨席頂きました。日程前半はケニア森林研究所(KEFRI)本部の大ホールで、各コンポーネントの代表等がそれまでの4年半で実施した活動とその成果を詳細に発表するプレゼンテーションで、後半がキブウェジとキツイのプロジェクトメインサイトの視察となりました。

前半日程のプレゼンテーションの内容を整理すると、以下のようになります。
コンポーネント1.「DNA分析」の成果発表要点:
1)メリア・ボルケンシーとアカシア・トルティリスの分布域について詳細な調査を行い、遺伝的多様性を明らかにすると共に、メリアについて気候条件との関係を分析し、植栽適地を提案しました。
2)選定したメリア・ボルケンシーとアカシア・トルティリスの遺伝子マーカーを開発するとともに、優良木の遺伝子を分析して特徴を明らかにしました。
3)本プロジェクト活動に掛かる研究成果を発表するために、ジャーナルに論文を3本発表し、1冊の印刷物を刊行しました。

コンポーネント2.「育種」の成果発表要点:
1)上記分布域の調査を踏まえて、メリア・ボルケンシーとアカシア・トルティリスの優良木を、ケニア全土で100系統ずつ選定しました。
2)メリア・ボルケンシーとアカシア・トルティリスの採種園を、キツイとキブウェジに設立しました。
3)メリア・ボルケンシーについては8ヶ所の検定・展示林を整備し、アカシア・トルティリスについては2ヶ所の実生採種林を整備し、半年毎に成長の全数調査を実施しています。
4)メリア・ボルケンシーの木材特性について調査した結果、品質の高い材木が取れる可能性が示されました。

コンポーネント3.「耐乾燥性」の成果発表要点:
1)キツイとキブウェジのサイトに気象観測ステーションを設置して、耐乾燥性と気象条件との関係を調査しました。
2)メリア採種園で、成長の早い系統と遅い系統を10系統ずつ選んで比較調査を行った結果、光合成能力の違いが観察されました。
3)メリアの成長の早い系統は遅い系統に比べて、乾季の休眠期が短く、休眠期に起こる幹の縮みが小さいこと等が分かりました。

コンポーネント4.「普及活動」の成果発表要点:
1)マーケット調査を実施して、メリア材の流通状況を把握し、レポートを出版しました。
2)Forest Farmer Field School(FFFS)を実施して、実際の育成を通して農民に改良メリアの成長の早さを知ってもらいました。
3)改良メリアの普及システム整備のために、その種子を一元管理する「改良メリア管理・配布ユニット」を開設しました。
4)改良メリアの管理・流通ガイドラインやフリップチャート、研修教材を作成し、普及のためのワークショップや研修を実施しました。

後半日程の現地視察では、約26ha(東京ドーム約5.6個分)という屈指の規模を誇るキブウェジメインサイトをKEFRI現地スタッフの説明で詳しく見て回り、その後ケニア最大のメリア苗畑農家を訪問してその成功の秘訣を聞きました。最終日は、キツイメインサイト視察後に現場において、メリアやアカシアの特性や実際のサイト管理の詳細等について熱心な議論が行われました。ケニア国外からの参加者も含め、この現地視察のインパクトは非常に大きく、特に植栽後4年で立派な母樹の森になっているメリア採種園には驚きと称賛の声が上がり、華々しく成果発表会を打ち上げることが出来ました。

(なるみ・たけだ)

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成果発表会の来賓の皆様

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環境・天然資源大臣と駐ケニア日本国大使

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KEFRI本部の中庭で全体記念撮影

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次々に各コンポーネント代表が成果発表

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タンザニア代表のプレゼンテーション

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エチオピア代表のコメント

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日本側は林木育種センターから7名ご参加

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キブウェジサイトでの現地視察会

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ケニア最大のメリア篤農家との交流会

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キツイサイトでの討論会