バトンタッチ

2017年7月18日

本プロジェクトは2017年7月10日を以て一旦幕を引きますが、育種や普及については規模を縮小して、『持続的森林管理のための能力開発プロジェクト』(2016年6月〜2021年6月)に、その活動の一部分として引き継がれることとなっています。そもそも育種という事業は、代を重ねながら改良を加えていく息の長い仕事で、本プロジェクトではやっと第1世代を育成して、これを検定している途中で終了することになります。今後、第1世代の完成、第2世代と改良が進むことになりますが、2030年までに森林被覆率を10%に引き上げること(2016年時点で7%)を憲法で規定しているケニアの緑化に、この改良がどれだけ貢献できるかが、プロジェクトの意義として一つの指標となるでしょう。

具体的な引継ぎ作業は、終了半年前から計画的に進めてきましたが、そのカギを握るのがJICAとKEFRIの間に立って結節的業務を行う人材です。8ヶ所のサイトを抱えているので、毎日どこかで維持管理作業が行われて、その経費が発生します。月に数度は各現場に出かけて常にその状況を把握し、経理業務も含めた適切な対応を適宜行っていく人材は、今後の円滑な運営にとって不可欠です。このような役割を果たす人材には、いくつかの条件が要求されます。まず、各現場の状況を熟知していて、専門的な知識や技術も有していることです。そして、仕事熱心で責任感が強く、性格的にも各レベルのスタッフと良い関係が築けることが必要です。また、最も重要な条件としては、ケニア流と日本流の両方の仕事の仕方をよく理解していることだと思います。

幸い、本プロジェクトに開始直後からずっと携わってきた有能な若手人材がいたので、彼を抜擢して、この半年間でサイト管理業務の全てを習得してもらいました。彼はKEFRI職員で、フォレスターの有資格者でもあり、人柄も良く仕事熱心で前途有望です。彼は我々とともに汗をかきながら、日本的な仕事の仕方も身をもって学んできたので、今後はケニア側と日本側のパイプ役として大いに活躍できる未知の可能性を秘めています。人材育成という観点から見れば、彼そのものが、本プロジェクトの成果の一つと言えるかもしれません。ですから、KEFRIと『持続的森林管理のための能力開発プロジェクト』関係者の皆様から更なるご指導を頂いて、将来のKEFRIを背負って立つ人材の一人になってくれることを願っています。

(なるみ・たけだ)

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引継ぎ後関係者間協議(KEFRI、FTBC、CADEP)

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新旧プロジェクト間現場協議

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現場のワーカー達に具体的作業を指示

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KEFRIとJICAのパイプ役の期待の星