REDD+におけるMRV研修の開催

2018年7月6日

2018年7月4日から5日

REDD+(注1)準備段階コンポーネントでは、2018年7月4日と5日の2日間に、ナイバシャのMASADAホテルでMRV(注2)研修を実施しました。REDD+におけるMRVは、気候変動の緩和のための政策の実施状況や約束の遵守状況、クレジットメカニズムの下での排出・吸収量などを客観的に評価可能とするための要件ないしはその仕組みを意味します(森林総合研究所2012)。MRVは、REDD+による炭素排出量の削減活動の透明性を担保し、活動の持続性を確保する一つの取り組みと考えられます。本研修は、REDD+の概論やMRVの特にMの部分の方法論を習得して、ケニア国のREDD+の取り組みで求められる測定・検証・報告を適切に遂行できる人材の育成を図ります。

MRV研修は1回/年で実施しており、今年で2回目となります。昨年に引き続き、REDD+の有識者の裾野を広げることを目的に、REDD+の知識を有しない若手職員を対象としました。ケニア森林公社(KFS)の30名の職員に参加を呼びかけて研修を開催しました。2日間の研修で、REDD+の概要と国家森林モニタリングシステム、森林炭素蓄積の推定に用いられるリモートセンシング技術や森林インベントリ調査手法とともに、ケニア国内でのREDD+の取り組み状況を学びました。さらに、今年の研修には、ワークショップ形式によるグループ討議の時間を取り入れました。研修生たちは、3つのグループに分かれ、ケニア国内での森林減少や森林劣化等の要因(例;違法な森林伐採、過剰な薪炭生産など)を抽出して、その対策を議論しました。

研修実施後、参加者からは「多くのことを学べる機会となった。」や「また繰り返し研修を受講したい。」と、研修内容に満足している意見や、研修参加に対して積極的な意見が多く寄せられました。一方、2日目の最後に実施した小テストの結果は、正答率65%(20問中の平均正答数は13問)であり、研修生の理解度を高めるために講義内容を改善していくことが今後の課題としてあげられます。研修教材は印刷物とともに電子データでも配布しており、研修生が事後で自己学習することや、研修生が各所属内で配布することによりREDD+の取り組みが共有されることが期待されます。

プロジェクト終了後も活動の持続性を確保するためには、プロジェクト活動を理解し、継続することが可能な人材を育成することが求められます。将来、ケニア単独でこのようなREDD+に関する研修活動が進められるよう、さらに、REDD+活動の実践そのものについてもケニア側が取り組んでいけるように、今後もケニア側の主体性を尊重しながら人材育成の活動を推進していく予定です。

引用:森林総合研究所REDD研究開発センター(2012) REDD-plus COOKBOOK

(注1)Reducing Emissions from Deforestation and forest Degradation and the dole of conservation, sustainable management of forests and enhancement of forest carbon stocks in developing countries:途上国における森林減少・森林劣化からの排出削減、および森林保全、持続可能な森林経営、森林炭素蓄積の強化
(注2)Measurement Reporting Verification:測定・報告・検証

【画像】

研修の実施状況

【画像】

C/P職員による講義

【画像】

グループ討議の様子

【画像】

グループ討議内容の発表

【画像】

小テストの実施状況