組合研修・第9回合同調整委員会(JCC)実施

2020年1月17日

12月25日~26日の2日間、KVS組合員向けの研修と組合総会を行いました。プロジェクトは今月末で終了するため、今回が最後の研修となります。研修では各組合員が自身の経験を話し、他の人達と共有する場としました。テーマは点滴灌漑や女性労働者の活用事例等です。また、プロジェクトからは12月に行った本邦種苗会社の出張報告と昨年の栽培からの今後の注意点(活着不良、追熟場所、未熟果の混入、洗浄不良等)について話しました。組合総会では来年度の計画を議論し、プロジェクトが終了した後でも組合員がまとまって活動していく決意を新たにしました。

1月9日には最後となる第9回合同調整委員会(JCC)を開催し、カウンターパート(C/P)に対して日本人専門家からプロジェクト目標や成果の達成状況や今年のプロジェクトの進捗についての報告を行いました。また、KVS組合事務局長のサグムバエフ氏からKVS組合の今年の生産実績と来年の生産計画についての発表がありました。キルギス側からはC/Pである農業・食品産業・土地改良省プロジェクト・マネージャーのジュマリエフ氏、キルギス種苗協会(SAK)のイスラモフ会長と日本側からはJICAキルギス事務所根本所長、羽根企画調査員らが参加しました。

プロジェクト目標や成果の達成状況については以下のとおりと発表されました。
プロジェクト目標「対象州において輸出可能な品質の野菜種子が生産される」
指標1「対象州で生産された野菜種子の輸出実績が1件以上となる」
プロジェクトでは2017年から海外種苗会社と試行採種委託契約を締結し、野菜種子の輸出が開始されたため、本指標は達成されたと言える。

指標2「国際種子検査協会(ISTA)基準による検査の結果、設定された品質基準(別表)を満たす品質の野菜種子生産可能な農家が48名に達する」
調査の結果、2019年に組合員と共に契約栽培を実施した農家の数は76名であった。種苗会社が定める品質基準はISTA基準よりも高く、既に59名が種子を輸出しているという事実から、本指標は達成されたと言える。

成果1:野菜種子生産産業振興のための実施体制が強化される
種子政策に関する提言が農業省に提出されたこと、アジア太平洋種子協会(APSA)が主催する総会への参加等を通じて得られた野菜の輸出に関する情報をキルギス国内の生産者に情報発信したこと、種子の日本への航空貨物料金の調査が実施されたことを指標に本成果は達成されたと言える。

成果2:研修圃場での研修とFFSにより、野菜種子生産技術が普及される
FFS指導者の育成人数および研修で習得した技術を用いて、契約を受けた組合員と共同で採種を行う種子生産者が指標数に達しているため(前述指標2)参照)、本成果は達成されたと言える。

成果3:野菜種子の検査技術が改善する
SSI検査職員の本邦研修、短期専門家による種子検査の技術指導、短期専門家の提言による発芽試験室の改修および種子検査用機材の整備等を実施したことにより、本成果は達成されたと言える。

成果4:種子輸出のための種子生産の組織化が進む
終了時評価では、海外の種苗会社と契約を交わした組織(KVS)が形成されたことから本成果は達成されたと評価されたが、安定的に輸出向けの野菜種子を生産するためには更なる組織の能力向上が必要と判断された。その後、プロジェクト延長期間中に組合組織強化の短期専門家の指導の下、組合事務局が組織規程を制定し、個々の組合事務局員の役割を明確化することによって組織が整えられたため、本成果は達成されたと言える。

プロジェクト終了後の組合の課題は、安定的な運転資金の確保です。プロジェクト終了後に海外種苗会社との委託契約と種子調製機材を使用した農家向け種子調製サービスから得られる収入だけでは、組合を維持することは難しい状況にあります。農家の技術が上がり、海外からの委託契約を受けられる技術を持った農家が増えても、種苗会社との契約が急に増えるわけではないため、組合は今後種子の輸出だけではなく、国内からの委託採種も開拓していき、輸入種子の国内販売や苗販売等の新たな収益事業も行い、様々な方面から収入源を模索していく必要があります。また、今年は採種農家育成と種子品質確保のために契約を受けた組合員がFFS農家と共同で採種していましたが、来年度以降、それぞれの農家が想定の金額を組合にもたらす体制に変わっていき、一方、共同採種方式を続ける組合員であっても面積と人員の拡大を目指しており、1軒あたりの金額と全体の金額の両方が増大していくと考えられます。
プロジェクト終了後もこのような活動を続けていけば組合を安定して経営できるようになり、キルギスを一大野菜種子産地とすることにまた一歩近づくと考えます。プロジェクトは終わりますが、キルギスの農家達で結成されたKVS組合はまだ始まったばかりです!!

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研修の様子

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JCCの様子