プロジェクト概要

プロジェクト名

病院の保健医療サービスの質および財務管理改善プロジェクト

対象国名

ラオス

署名日(実施合意)

2021年9月3日

プロジェクトサイト

ビエンチャン特別市および南部4県(チャンパサック県、サラワン県、セコン県、アタプー県)

協力期間

2022年3月27日から2025年3月26日

相手国機関名

保健省治療・リハビリテーション局、財務局、国家健康保険局

背景

ラオス保健省は2025年までのユニバーサル・ヘルスカバレッジ(UHC)達成に向けて、「保健セクター改革戦略枠組み2013-2025」において、「保健医療サービスの供給と病院運営」を取り組むべき5つの柱の中に含め、重要課題と位置付けている。我が国はこれを支援するため、2016年より技術協力プロジェクト「保健医療サービスの質改善プロジェクト(QHCプロジェクト)」を通じてラオス国南部4県を対象に、保健医療サービスの質の向上を支援した。QHCプロジェクトの実施により、病院における保健医療サービスの質改善活動の実施体制が確立され、各病院が限られた予算のもと質改善計画の策定と実施が出来るようになり、保健医療サービスに対する患者満足度の向上が確認された。

病院認証制度は病院の質を評価する内容も含まれる制度であるが、認証取得のためには、制度実施とは別に、継続的に保健医療サービスの質を改善し、認証を取得する必要があるため、新たに保健省が定めた病院認証項目に沿った質改善活動実施、郡レベルへの面的展開については、さらなる支援が必要である。

他方、質の確保された保健医療サービスを継続的に提供するためには、病院における会計管理の改善も必要とされている。QHCプロジェクトの対象病院において、病院会計管理を適切に行うことで、病院における保健医療サービスの質のさらなる改善や改善活動継続に繋がると思われる事例が確認された。2019年には健康保険制度の人口カバー率が94%となり、住民の保健医療サービスへのアクセスが増えることが見込まれるものの、病院における会計管理については、依然として課題が残されている。健康保険制度の理解不足から、本来保険でカバーされるべき費用が患者から徴収される他、病院の会計管理能力の低さから適正に会計業務を行うことができていないために診療報酬請求が遅れ、病院が必要な医療費の配分を適時に受けられないなど、継続的な保健医療サービス提供のボトルネックになっている。これらの課題を解決するため、保健医療サービスの質を担保し、病院の財務管理が適切に行われるための技術協力が、ラオス政府から要請された。

目標

上位目標

対象の県病院および郡病院において、改善された保健医療サービスの質が維持されるとともに、受診者の経済的保護が強化される。

プロジェクト目標

対象の県・郡病院において、改善された保健医療サービスの質と財務管理が担保される。

成果

成果1.5G1S基準に沿った保健医療施設アセスメントの実施を含む質改善活動が継続的に行われる。
成果2.健康保険基金管理を含む病院会計/財務管理が強化される。

活動

活動1.保健医療の質改善のため、以下の活動を行う。

1-1.質改善委員会を開催する。
1-2.5G1S基準に基づく保健医療施設アセスメントの実施者研修を行う。
1-3.5G1S基準を用いた保健医療施設アセスメントを行う。
1-4.病院サービス、機能を改善する手法(質改善活動)を考案し、導入する(活動2-2に関連)。
1-5.活動1-3で実施したアセスメント結果をもとに、各病院が保健医療施設に関連した病院サービス、機能の改善計画(質改善計画)を作成する。
1-6.県、郡病院の活動に基づき、病院サービスと機能の改善方法に係る実施マニュアルを作成する。
1-7.質改善活動を実施する。
1-8.院内質改善活動のモニタリング、経験共有会議を郡病院間で実施する(活動2-8に関連)。
1-9.病院における感染対策、患者安全活動を強化する。
1-10.質改善活動の取り組み事例を文書にまとめる。
1-11.南部4県でのプロジェクト活動の経験やその教訓もとに、保健省や他の開発パートナーへ質改善活動について提言する。

活動2.国家健康保険基金の制度下における財務管理体制に係る以下の活動を行う。

2-1.健康保険基金管理を含む病院会計/財務管理の状況把握のために情報収集を行う。
2-2.健康保険基金管理を含む病院会計/財務管理に関する病院認証基準に関連した業務を確実に実施するための手法を考案し、試行、導入する(活動1-4に関連)。
2-3.健康保険基金管理に関する研修を実施する。
2-4.病院会計/財務管理に関する研修を実施する。
2-5.健康保険基金管理を含む病院会計/財務管理に関するスーパービジョンを実施する。
2-6.郡病院間で病院会計/財務管理経験共有会議を実施する(活動1-8に関連)。
2-7.南部4県でのプロジェクト活動の経験やその教訓もとに、保健省や他の開発パートナーへ健康保険基金管理を含む病院会計/財務管理強化について提言する。
2-8.タイ国JICA技術協力プロジェクトと連携して、タイ国と医療保障制度に関連した合同会議/ワークショップを開催することを通じて、タイの知見を学び、相互に経験を共有する。
2-9.保健人材等の病院管理に係る活動を実施する。

投入

日本側投入

1)長期専門家派遣(合計約144人月):チーフアドバイザー、業務調整、
質改善、病院会計
2)短期専門家派遣:感染管理、患者安全等
3)本邦または第三国研修:タイにおける第三国研修等
4)機材供与

相手国側投入

1)カウンターパートの配置
2)案件実施のためのサービスや施設、現地経費の提供