2013年8月の活動

2013年8月31日

1.今月の主な活動と今後の予定

1.1 研修実施体制の見直し

8月上旬に実施された合同調整委員会(JCC:Joint Coordination Committee)での正式な承認を経て、研修の実施体制の改善に着手しました。研修が本格的に開始された2012年8月から約1年間、住民に対する研修の大部分はフクタン(注1)の中心村に住むインストラクター(旧フクタンアニメーター)により実施されてきました。2013年8月より、実施体制の簡素化とコストを下げるために、プロジェクトの主要活動のうち、比較的簡単な技術の研修(改良かまど作り、植林)については、各村に住むローカルトレーナー(旧リードファーマー)が行うこととしました。この研修の第1弾として、現在、フクタンレベルで、ローカルトレーナーを対象に、改良かまど作りの講師養成研修が実施されており、9月には、各村で同研修がローカルトレーナーにより実施されます。

1.2 オン・デマンド研修の実施

今月は、ライチの取り木研修が多くの村で実施されていて、住民から大変良い反応を受けています。同研修は、ライチの母木を使用し、実際に参加者が取り木をするため、取り木ができる母木がある村でしか実施できないのですが、プロジェクト対象地域全域で、ライチ生産に対する住民の要望があります。このため、取り木研修では、各参加者が2本の取り木を行い、1本が自分用、もう1本がプロジェクト用とし、この取り木を、母木のない村でのライチの苗木生産に活用することを予定しています。
ロイヤルカープの養殖研修では、これまで外部の技術者が住民へ直接研修を実施していましたが、研修単価を下げるために、エリアマネージャー(旧コミューンアニメータ)を講師として養成し、彼らから住民に指導を行う方式に転換しつつあります。また、養殖を普及する上で克服しなければならない稚魚の安定供給に向けても、稚魚生産研修の実施を通じて、2013年度は対象地域内に4カ所程度の稚魚生産拠点を作ることを予定しています。同研修では、プロジェクトからの投入は親魚数匹と技術指導のみです、池の整備やエサの準備など住民自身が負担する作業や投入などは、他の研修と比べるとかなり大きくなります。それでも、稚魚生産を行いたいという住民が少なくなく、地域住民の養殖に対する関心の高さがうかがえます。

1.3 合同調整委員会(JCC)の開催

8月8日、10日に、プロジェクト事務所のあるアンバトンドラザカ市で、県知事やコミューン長などを含めた県レベルの調整委員会(RCC)メンバーも交え、合同調整委員会を開催しました。
プロジェクトの活動報告に先立ち、2013年3月の本邦研修に参加した、環境省自然資源開発局局長、環境・森林省アロチャ・マングル県環境・森林局(DREF)、農業省アロチャ・マングル県農村開発局(DRDR)により、日本での研修成果が発表されました。続いて、2013年度の上半期の活動実績の発表、そして、1.4で述べるサイト訪問の結果を踏まえ、下半期の活動計画の承認と今後のプロジェクトの方向性に関する議論が行われました。プロジェクトよりの提案である「職制名称の変更」や「認証制の導入」に関しても、好意的なコメントが多く、特に、「ローカルトレーナーの養成数がプロジェクトの大きな成果の一つとなる」ことが確認されました。ライチ生産に関しては、プロジェクトサイトを含むアロチャ湖周辺地域はライチ生産のポテンシャルが非常に高いこと、プロジェクトからの集中的な投入により、対象地域がライチの産地に転換される可能性が示唆されました。
次回以降のJCCの討議課題として、プロジェクトのモデルの面的な普及を考えるうえで必要な、「研修実施体制の簡素化」と「研修テーマの取捨選択」がプロジェクトから提案されました。

1.4 プロジェクトサイトの現地体験ツアーの開催

8月9日には、JCCメンバー、RCCメンバーに加え、報道関係者を伴ったプロジェクトサイトの視察を実施した。内容は、(1)ライチの取り木研修への参加、(2)養殖と組み合わされたラバカ(注2)安定化サイトの視察、(3)住民より定期的な維持管理が行われているラバカ安定化サイトの視察、(4)改良かまど作り研修への参加、(5)植林地の視察など、盛りだくさんでした。
環境省次官、県知事とも、住民やその代表であるインストラクターやローカルトレーナーの努力をたたえ、激励の言葉をかけてくださり、住民にとっても、良い刺激となったと思います。この視察の模様は、テレビやラジオでも放映されました。

1.5 植林実績調査の実施

先月開始した対象地域内の全戸(約12,000戸)を対象とした、ローカルトレーナーによる簡易植林調査の結果の取りまとめを行っています。更に、全戸調査の精度と植林現場を実際に確認することを目的に、条件の異なる9フクタンの世帯のデータを抽出し、エリアマネージャーを活用し、植林地現況調査も併せて実施しています。

1.6 マダガスカル農業見本市への出展

JICAマダガスカル事務所の協力のもと、8月7日(水)から8月11日(日)にかけて、首都アンタナナリボで開催された農業見本市(Fier-MADA)に出展しました。出展ブースでは、プロジェクトの概要説明、植林、ラバカ対策、7日間堆肥研修などの技術や研修の様子の紹介をしました。また、NGOによるビジネス機会を探求することを目的として、改良かまどや果樹苗、微生物活性剤を販売しました。

(注1)フクタン マダガスカル国の行政単位。日本語でいう「村」に類似する。
(注2)ラバカ 土砂崩れによってできた穴。ここから土砂が流出し、水田などに堆積することが問題となっている。

2.2013年9月の専門家の離着任予定

9月14日 三浦総括離任

3.活動写真集

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8月7日 タナで開催されたFier-MADA(農業見本市)に出展。首相がブースを訪問された際、プロジェクト概要を説明している様子。

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8月8日 環境省次官などのJCCメンバー、県知事が参加しての現地フィールドツアーの様子。アンテテザンタニでのラバカ対策研修後の状況を視察。

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8月10日 環境省次官、県知事参加によるJCC、RCCの様子。

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8月20日 アンボディラノに於ける第2回稚魚生産研修。雌魚の産卵場所の作成方法と池の準備方法の説明。

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8月26日 マナカバインケリでのエリアマネージャー対象の第2回ライチ取り木研修の様子。

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8月27日 エリアマネージャーと実施する植林地踏査のための準備の様子。DREFのキアディ氏に同行してもらい、植林本数の数えかたを練習しているところ。