2015年7月の活動

2015年7月31日

1.今月の主な活動と今後の予定

(1)アロチャマンゴロ県での活動

1)当初対象3コミューンでの活動(対象期間:2015年6月1日〜30日)

2015年6月からは住民活動のモニタリングとフォローアップを本格的に再開しました。その結果、プロジェクト終了後の住民活動の持続性の向上に資する事例が複数報告されました。例えば、ムララノクロムコミューンで、これまで研修に参加しなかった住民からの要請を受け、ローカルトレーナーが無料で改良カマドに関する研修を提供しました。また、同コミューンの別の地域では、販売用に改良カマドを作製する住民が現れ始めています。彼らの主な販売先は、研修に参加しカマドの便益を理解したものの、自らで作製する手間を掛けたくない同じ集落の住民です。さらに、住民間で便益が伝わった結果、プロジェクトの対象地域外の住民が改良カマドを導入した事例も報告されました。
今後は、モニタリングによって観察された上述のような好事例や住民のニーズを踏まえて、現場レベルで次のアクションを決定できるPDCAサイクルの仕組みを普及システムに導入することを目指していきます。

2)新対象2コミューンでの活動(対象期間:2015年6月1日〜30日)

第1フェーズから活動を展開してきたカテゴリー1と2(注)の地域では、5月に引き続き、ライチ取り木と草本を材料として作製する丸形の炭(以下、シャルボンブザカ)の講師育成研修が実施されました。
住民活動のモニタリングの結果、昨年の研修に参加したものの、時間が取れずまだ改良カマドを作製できていない住民が一定数見られました。彼らによると、稲田の収穫作業が終わり次第、作製を開始するとのことです。また昨年の研修には参加しなかったにもかかわらず、第2フェーズに入ってからエリアマネージャーに研修実施の要請を上げる住民が一定数見られます。こうした住民が昨年の研修に参加しなかった原因として、研修の情報が十分に伝達されていなかった、あるいは他の住民による実践を見てから自らが動き出す「フォロワー」が一定数存在することが推察されます。これらの住民が確実に研修に参加できるようにするためには、全ての住民に研修の機会が提供されるというプロジェクトの基本方針と研修日時や場所に関する具体的な情報を、対象地域の全住民にタイムリーに届けることが重要です。
カテゴリー3の集落では、今年7月より啓発活動を開始します。その戦略を議論するNGOの内部会議が7月上旬に予定されています。

(注)アクセスの容易さの順に、対象地域を1,2,3のカテゴリーに分類しています。第1フェーズではカテゴリー1と2の地域のみで活動を展開してきました。

3)簡易インパクト調査の開始

7月下旬より、当初対象コミューン(以下、ゾーン2)と新対象コミューン(以下、ゾーン1)の両地域において、簡易インパクト調査を開始しました。昨年同様、本調査は1)質問票調査、2)植林地踏査、3)ケーススタディ(ラバカの維持管理を実施している農家またはグループ、稚魚生産農家、BOAローンを試行する農家またはグループ)から構成されます。7月末現在、両地域において第1段階である質問票調査が終了しました。引き続き、8月中旬には植林地とラバカの踏査、8月下旬から9月上旬に掛けてケーススタディを実施する予定です。
質問票調査では、ゾーン1は100世帯、ゾーン2は200世帯を対象としたサンプル調査を行いました。サンプリングでは、車でのアクセスの可否、ゾーン2ではさらに昨年の調査結果における植林実践世帯の割合を考慮し、対象フクタンを層別抽出した後、そのフクタン内の世帯をランダム抽出しました。主な質問内容は、2015年6月までにプロジェクトが実施した研修への参加の有無、その後の実践の有無、便益の有無です。

(2)ブングラバ県での活動(対象期間:6月中旬〜7月中旬)

6月下旬には、対象の全てのフクタンで啓発活動が終了しました。6月末から7月上旬にかけて、ローカルトレーナーに対する改良カマドの講師育成研修を実施しました。その後、一部のフクタンでは住民向けの改良カマド研修も実施されました。なお、7月23日までに対象地域で22の研修単位が設定されました。
7月14日、野田専門家と白石専門家が、ブングラバ県農業局(DRDA)と森林局(DREEF)のコーディネーターによる現場視察に同行しました。その結果、住民向け改良カマド研修が実施された1つのフクタンでは、これまで研修に参加したことのなかった住民にまで研修の機会が届くようになったという現場での評価が聞かれました。
7月下旬から8月中旬にかけて、植林研修のリソースパーソンの選定、植林講師育成研修などが計画されています。

2.2015年8月の専門家の離着任予定

8月5日 北窓専門家着任
*現地でのプロジェクト活動との兼ね合いから、着任日を当初の7月29日から8月5日へ1週間遅らせた。

3.活動写真集

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2年間も壊れずに使用され続けている改良カマド(アロチャマングル県アンドレバケリスッドコミューン)

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プロジェクトが配布したライチの苗木。この世帯では、生育状態が非常に良い(アロチャマングル県アンドレバケリスッドコミューン)

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インパクト調査のプレテストの様子。本調査では、エリアマネージャーが調査員を務める(アロチャマングル県ムララノクロムコミューン)

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講師育成研修にて作成されたシャルボンブザカ(アロチャマングル県ラノマインティコミューン)

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連絡帳の使用方法を確認するDREEFコーディネーターとCDR(ブングラバ県チンジョアリボ・イマンガコミューン)

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住民向け研修に参加した女の子が作製した改良カマド(ブングラバ県アンバトランピーコミューン)