プロジェクト活動紹介(第1回)「フェーズ1からフェーズ2へ」

2018年7月6日

本プロジェクト「Projet d’Amélioration de la Productivité Rizicole et de Gestion de Bassins-versants et Périmètres Irrigués(コメ生産性向上・流域管理プロジェクトフェーズ2)」は、2009年1月から2015年7月まで実施された「Projet d'Amélioration de la Productivité Rizicoles sur les hautes terres centrales(中央高地コメ生産性向上プロジェクト)」の後継案件として2012年12月から活動しています。マダガスカル国内では、プロジェクト名の頭文字をとった略称「PAPRIZ(パプリ)」として広く知られています。プロジェクト目標は、プロジェクト概要に書かれているとおり、プロジェクトサイトにおいてコメの生産性を向上させ、コメの生産量の増加に寄与することです。

フェーズ1では、マダガスカル中央高地に位置する5県を対象として、現地で適応可能なコメの生産性向上に関する稲作技術の開発を行いました。フェーズ2では、その技術の普及およびフェーズ1介入県以外の新規介入6県に対しても適応可能な技術開発を施肥試験や品種比較試験を通じて行っています。

マダガスカルはアフリカ随一のコメ生産、消費国であり、農家の大半が稲作に従事しています。ところが、単収は3トン/ヘクタールに及ばない状況で、かつてはコメの輸出国であったのが、今では輸入国に転じています。フェーズ1で開発したPAPRIZ技術を実践した農家の平均収量は、5.45トン/ヘクタールに達しており、本技術が広く普及されればコメの生産量の増加に大きく貢献すると期待されています。

技術普及に際しては、いくつかの障壁があり、そう簡単には広まらないのも事実です。例えば、新しい稲作技術を学習する機会の不足、認証種子や化学肥料の購入資金の不足、また、それらを販売する商店が少ないため、簡単にアクセスできないといった問題があります。本プロジェクトでは、それらの問題を解決するために農業畜産省スタッフや農家への研修を実施し、稲作技術を教えられるトレーナー(PAPRIZトレーナー、農民トレーナー)の育成に力を入れています。2017年度の研修参加農家数は累計で15,000人以上に達しました。また、農業資材業者やマイクロファイナンス(小口金融)業者とも協力しながら技術普及を行っています。現在は、試験的に10アール用の認証種子と肥料、技術パンフレットをパッケージにしたスターターキットの販売を通じた技術普及を行っています。

本プロジェクトの特徴は、稲作技術のみに限らず、流域管理研修(改良かまど、植林など)の導入や小型農機具(脱穀機、唐箕、除草機)の普及および生産の品質管理、種子検査官の育成、水利組合支援等、稲作に関わる周辺環境についてもフォローすることで収量向上を阻害する要因を少しでも除去しようとしている点です。マダガスカル農業畜産省からも高い評価を受けており、同省は、世界銀行や国際機関を通じて国内全22県に対してPAPRIZ技術の普及を行うことを決定しました。活動の詳細については、本ウェブサイトにてこれから紹介していく予定です。

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収量増に喜ぶ農家

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農民トレーナー研修の様子

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脱穀機の紹介