住民啓発用リーフレットの役割

2020年12月24日

リロングウェ市無収水対策能力強化プロジェクト(LiSCaP)の活動の一つとして、住民を含めた水利用者に対して無収水削減の重要性やリロングウェ水公社(LWB)の取り組み等を情報提供することで、無収水削減に係る理解促進を図っています。本プロジェクトでは、コロナ禍において日本人専門家がマラウイでの活動ができない中、日本国内からリモートでコミュニケーションや情報共有を図りつつ、LWBを支援する方法を検討してきました。その結果、水利用者への理解促進を図る取り組みとして、無収水削減に向けた住民啓発用リーフレットを作成することにしました。

LWBでは年4回程度、住民を招待して住民集会を開催しています。そこではLWBの取り組みが説明され、水道に関する意見交換が行われますが、その際に無収水を説明する分かりやすい資料が無いという課題がありました。そこでC/Pの意向を踏まえ、資料は住民への啓発活動として有効なリーフレットとし、住民集会などで配布できるような形で作成することになりました。

無収水の現状と対策は、いくつもの要因が影響し、一般住民にはなかなか理解が難しいという問題があります。そこでリーフレット作成にあたっては、無収水という複雑な課題と対策を、いかに住民に関心を持って協力してもらうかという点を重視し、イラストや具体的な事例などを用いて、全体にストーリー性を持たせるよう工夫しました。最後に、LWBと住民がともに協力して無収水削減に取り組むことが、お互いのより良い将来に繋がっていくというメッセージを加え、リーフレットを締めくくりました。

また、リーフレットの作成時には、目的や位置付け、ターゲット、作成を担当する広報課の役割について、司令塔である無収水対策課やカスタマーケア課も巻き込んで十分に議論しました。当初は広報課に当事者意識を持たせることは困難でしたが、リーフレット作成作業を通じ、無収水対策における広報課の役割の重要性を認識させることができました。加えて啓発活動の重要性を各部署が再認識できたことは、大きな成果であったと言えます。当時、LWB広報課に配属されていた青年海外協力隊員に、LWBとの調整や現地の状況を踏まえたアイデア出し等、リーフレットの完成に向けて多くの協力が得られた点も非常に効果的でした。
このようなJICAの多面的なスキームは、日本の国際協力において大いに連携・活用していくべき強みと言えます。

なお、リーフレットはより多くの住民及び関係者に読んでもらえるよう、英語版だけではなくマラウイ国の公用語であるチェワ語版も作成しました。
現在、マラウイではコロナ禍により住民集会を行えないため、LWBの事務所窓口での配布に留めていますが、専門家の現地活動再開後には、住民集会のみならずメーター検針時の戸別配布等積極的な配布活動を予定しています。

プロジェクトでは、配布活動の後、住民からのフィードバックを通じてリーフレットをバージョンアップしていく予定です。

プロジェクトで作成したリーフレット

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