算数ドリル補習活動の効果測定テストを実施

2021年7月30日

算数ドリルを用いた放課後学習活動の効果を測るための児童向けテストを7/12~19にかけて実施しました。

プロジェクト開始当初の計画では、2019/20学年度(2019年10月~2020年6月)中に効果測定活動を行う予定でしたが、学校現場での放課後学習活動が開始された直後の2020年3月から、新型コロナウイルスの世界的感染拡大に伴う臨時休校措置や教員組合によるストライキの頻発、一部軍による騒乱など様々な阻害要因により活動の中断を余儀なくされる中、コミュニティの努力によって少しずつ活動が進められてきました。この間に、対象校で放課後学習に参加する子どもたちも1学年ずつ進級しました。

このように多くの学習阻害要因が生じた中での活動となり、学習効果が得られるための十分な取り組みが行い得たか否かの判断が非常に難しい中、先月までのモニタリングで、対象校の半数以上で放課後学習活動の総時間数が目標時間数を越えたことが確認されたことから、ポストテストの実施に踏み切りました。

結果は引き続き分析中ですが、パイロット校と非介入校のプレテストとポストテストの結果を比較すると、出題の半数以上に正答した子どもの割合の増分が、非介入校29.5%に対しパイロット校では38.6%となっており、9.1%の介入効果が見られました。また全体として、放課後学習活動の総時間数が多い学校であるほど出題の半数以上に正答した子どもの割合が多くなる傾向も見られました。当たり前と言えば当たり前ですが、算数ドリルを用いた放課後学習活動をたくさんすればするほど、算数のテスト問題により着実に正答できるようになるということのひとつの裏付けが得られました。

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ただし、同じ学校でも学年や児童によって放課後学習活動への参加時間数、ドリルで演習をしたページ数などに大きな差異が見られることから、各校の平均どうしを単純に比較するだけでは十分ではありません。そこで、地域ファシリテータが記入した放課後学習活動シートのデータから、子どもごとの学習時間数、ドリルの実施ページ数を見ていき、それらとテスト結果との関係性の分析を更に進めていきます。

なお、今回のテスト実施は雨季の始まりと重なり、子どもたちに試験に参加してもらうのが一苦労でした。直接的には、子どもが家庭の畑仕事に駆り出されていることが主な要因ですが、未だに保護者の多くが子どもへの学校教育よりも家庭労働を重視する傾向が強く、さらに今般のコロナ禍や政情の不安定化、教員ストライキなどで家計が悪化し、学校の機能が低下したことがその状況に更に拍車をかけていると見ています。また更にその傾向は、学校と保護者・コミュニティとの間のつながりが弱い学校でより顕著であり、ますます学校とコミュニティとを繋ぐCGS(学校運営委員会)の役割が重要になってきているとの認識が共有されました。

この現状を真摯に受け止めつつ、残り1年のプロジェクト期間、子どもたちの学びの改善に向けた効果的なアプローチを提示できるようしっかり取り組んでいきます。

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ポストテストの様子(ノソンブグ地域:コスマレ小学校)