リスクの下での教育支援-誰が子どもの学びを守るのか-

2021年12月31日

今年プロジェクトが取り組む「教育フォーラムを通じた住民参加による算数学習改善活動の普及」の手順は次のようなものです。

1.学年度最初の教育フォーラムで、算数学習改善活動の実施を皆で約束し合う
2.主役となる学校運営委員会(CGS)メンバーへの研修を行う
3.CGSが選んだ放課後学習支援ボランティア(ファシリテータ)への研修を行う
4.児童用の算数ドリルを配布し、学習支援ボランティアが放課後学習活動を実施する
5.県教育センター(CAP)の指導主事によるバイク巡回モニタリングを通じて放課後学習活動を支援する
6.学年度の最後に結果を取りまとめ、ナショナルセミナーで共有する

最初の取り組みは対象3地域での第3回教育フォーラムの準備・開催へのサポートです。昨年度は「WITHコロナの時代、子どもたちの学びを保証するために今、何をすべきか?」をテーマに開催しました。その後1年間活動が行われた結果、「コロナ予防対策のための保護者への啓発の実施」や「学校への手洗い器の設置」といったフォーラム決議事項(3地域で合計349項目)のうち6割に当たる210項目が完遂され、実施中のものを含めると実施率は99%(348項目)にも上りました。マリの人々の底力を感じさせる結果です。

今年はその力を算数学習改善に向けるべく「小学校(2・3年生)の算数学習を改善しよう」をテーマに据え、これまでノソンブグ地域で試行してきた算数ドリルを用いた放課後学習活動を、対象3CAPの全小学校(380校)に拡げる計画です。これまでの試行活動に続き、全国普及へ向けた試行活動の次の段階となります。ノソンブグ地域以外の地域では初めての試みとなるため、ノソンブグ地域での経験と教訓を踏まえ、関係者の理解促進と効果的な開催に向けた支援を実施していきます。第3回教育フォーラムは、まずファナ地域で12/8-10に無事開催されました。ノソンブグ地域とジョイラ地域は1月上旬に実施予定となっています。

11月中旬から地方出張を再開できました。9月上旬の中断からおよそ2カ月ぶりです。これまで以上に安全対策を強化すべく、日ごろから安全状況に常にアンテナを張り、事前の渡航先の安全確認、出発・到着連絡、コンボイ移動、衛星携帯電話の携行などを徹底し、テロ被害やコロナ感染などに対する関係者の身の安全と緊急時への備えを最優先しながら慎重に活動を進めています。活動中もWhatsAppを用いてチーム内の動きを逐一共有し、各人の安全を全員でフォローする体制で臨んでいます。様々なリスクが高まる中でプロジェクトにできることは徐々に制限されてきていますが、このようなリスクの下での支援の先に、子どもたちの学びと、その支援を約束し合い果たし合う人々の協働が実現しつつあります。

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ファナ地域の第3回教育フォーラム(県知事による開会の挨拶)

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ファナ地域の第3回教育フォーラム(会場内のCGS連合の代表者等)

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ファナ地域の第3回教育フォーラム(決議のためのグループ討議)

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ファナ地域の第3回教育フォーラム(決議の実行を約束するコミュン長たち)

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ファナ地域の第3回教育フォーラム(集合写真)

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ファナ地域の第3回教育フォーラム(ケータリングはコロナ対策を徹底)