JICA調査団、とうとうマリ現地へ!

2022年5月31日

プロジェクトは、業務開始3か月後からコロナ禍、その後も2度のクーデタなど、多くの困難に見舞われながらも、様々な工夫を凝らしながら着実に活動を進めてきました。

現場だけでなく、JICA本部の担当者の方々も、遠く離れた東京から日々プロジェクトを見守りつつ、複雑で膨大な手続きを日々進めて下さっています。すべてのJICA事業は、現場から遥か遠く離れた多くの方々のこのような日々の地道な努力に陰ながら支えられて成り立っているのです。一方、現場からの報告といった間接情報のみに頼りすぎず、自身で実際に現場を訪問し、カウンターパートや受益者の人々と直にお会いしてその声に直接耳を傾けることも重要ですが、コロナ等により2年間も実施困難な状況にありました。それがようやく、5月下旬から6月上旬にかけて実現しました。

首都バマコに到着したJICA調査団員2名は、マリ国民教育省の事務次官およびプロジェクトチーム長であるCADDE局長の熱い歓迎を受けた後、教育省の関係部局長やドナー関係者を訪問し意見交換を行うと共に、プロジェクトの成果達成状況を確認した上で、残された課題と対応策について協議を行いました。また、教育大臣からのお声がけにより対面での意見交換も行い、コミュニティとの協働による子どもの学びの改善というプロジェクトのアプローチについて強い賛同を頂きました。その結果、ミニッツへの署名も教育大臣自らが行い、プロジェクトの成果普及に向けた強いコミットメントを表明して下さいました。

通常であればサイト訪問も行うところですが、マリの治安状況ではとても叶いません。そこで、地方の現場で実際に活動を実施しているカウンターパート(27名)と、小学校の校長、学校運営委員長、放課後学習活動のファシリテータを務める保護者の方々、自治体関係者(8名)に首都バマコまでご足労いただき、これまでの活動進捗・成果・課題について調査団と直接意見交換を行う機会を設けました。

会合ではまず、各サイトのPDM指標の達成状況や教育フォーラム誓約事項の達成状況、算数ドリルを活用した放課後学習活動の進捗などについて発表頂き、どのサイトでも目標が達成されたことが確認されました。コロナ禍や政情不安定化による難しい運営の下で成果を達成できたのは、現場関係者の絶え間ない努力と工夫の賜物で、改めて頭が下がる思いでした。また学校関係者の皆さん、特にファシリテータを務める保護者の方々からは、算数ドリルを使った放課後学習活動の継続に向けて、地に足の着いた貴重なご意見をたくさん頂きました。

マリの関係者は皆、「東京からバマコまで遥々足を運び、現地の温度と空気の中で我々と文字通り膝を突き合わせた交流をして下さったことは、我々の日本の国際協力への信頼をこれまで以上に強固にする本当に良い機会になった」と口を揃えて言います。我々専門家にとってもまた、マリの未来をつくる子どもたちの学びを改善するという共通目標に向かって取り組む遠く離れた2つの国の間の人と人が、相互信頼という確かな関係で繋がるという、JICAのビジョンの実現を目の当たりにする良い機会となりました。

今回の調査の結果、プロジェクトは今年12月末までの4か月間、延長されることとなりました。成果の定着と普及に向けて引き続き取り組んでいきます。

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教育省事務次官への表敬訪問(教育省。右側の白ターバンが事務次官)

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CADDE局長との意見交換(CADDE局長室)

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JICA調査団を交えた技術チーム会合(OMAES会議室)

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調査団とティンゴレB小学校関係者との意見交換(OMAES会議室)

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教育大臣への表敬訪問(教育省。中央左側の女性が大臣)