最終ワークショップを開催しました

2022年3月8日

2022年3月7日および8日に、カリージョメキシコ国際開発協力庁長官、坪井JICAメキシコ事務所長、プロジェクトの関係者を招いてSATREPSプロジェクト「メキシコ沿岸部の巨大地震・津波災害の軽減に向けた総合的研究」の最終ワークショップをメキシコ外務省(1日目)およびメキシコ国立防災センター(2日目)の講堂で開催しました。

本プロジェクトは6年間の活動の中で、メキシコ太平洋沿岸部のココスプレート沈み込み帯にあるゲレロギャップにはじめて海底に圧力計や地震計を設置することでスロースリップに伴う現象のデータを取得することができました。

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そして、陸上の衛星測位システム(GNSS)の観測点や地震観測点から得られたデータと合わせて解析することで、プレート構造のモデル化や地震・津波のシミュレーションも行いました。

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さらには、ゲレロ州沿岸部で将来発生しうる巨大地震や津波の災害シナリオを作成して、地震や津波のハザードマップの構築や、現地の社会・文化的特性に配慮した減災教育プログラムも開発しました。

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今回実施しました最終ワークショップは上述の研究成果を関係者に対して共有することが主な目的でした。

ワークショップには約30名が出席、さらにオンラインで日本などから約30名が参加しました。冒頭の挨拶に続き、日本側およびメキシコ側の代表研究者からプロジェクト全体の紹介と活動で得られた成果などを説明しました。ワークショップの場を借りて、プロジェクトで作成した「防災マニュアル」の供与式も行われました。その後、プロジェクトの各グループの担当研究者が具体的な研究成果について発表をしました。

ワークショップの最後には関係者間で意見交換が行われ、日本側代表研究者の伊藤喜宏准教授(京都大学防災研究所)とメキシコ側代表研究者ヴィクトル・クルス教授(メキシコ国立自治大学地球物理学研究所)からは、以下の発言がありました。

・当プロジェクトの構造はシンプルでモニタリング・モデリング・アセスメントの3つの研究課題で構成されています。研究内容がコンパクトにまとめられていたおかげで研究課題間のコミュニケーションが図られプロジェクト目標を達成することができたと考えています。
・当プロジェクトは5月で終了しますが、今後も確実にプロジェクト活動を継続させてその成果をメキシコ国内にも波及させるために、財団等のプライベートセクターにもアプローチをすることでさらなる資金獲得を予定しています。

ワークショップには、パイロットサイトであったシワタネホ市から市の市民保護局の関係者も駆けつけてくれました。プロジェクトの6年間の研究成果を共有することのできたとても充実した2日間となりました。

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供与された「防災マニュアル」同マニュアルは今後、CENAPREDが沿岸部の地域コミュニティに配布予定

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開会式の様子

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意見交換のセッションで発言をするヴィクトル教授(左から2番目)および伊藤准教授(右から1番目)