プロジェクト概要

プロジェクト名

(和)災害リスク管理ガバナンス能力強化プロジェクト
(英)Project for Strengthening of the Disaster Risk Reduction Governance in Mexico

対象国名

メキシコ

署名日(実施合意)

2022年3月2日

協力期間

2022年6月24日から2025年6月23日

相手国機関名

治安・市民保護省 国家市民保護調整局

背景

メキシコでは、地震、津波、火山、ハリケーン、洪水、地滑り、森林火災等の自然災害が頻発しており、2000~2017年に発生した災害による社会経済インパクト調査では、死者数9,009人、経済損失額5,124億ペソ(=約270億米ドル)、被災者数5,300万人、被害を受けた家屋数150万件の他、38,000件の学校と2,140ヶ所の病院・保健所が被害を受けた(出典:国家開発計画2019-2024)。
2017年の9月7日にチアパス州で発生したM8.2の地震、また9月19日にモレロス州で発生したM7.1の地震では、計467人の死者を出し、農村地域では12万件以上の家屋、都市部では約1,000件の建物が被害を受けたと報告されている。
2018年12月に発足した新政権は、地震からの復興を国の優先課題として取り上げ、2019年6月に国会承認された「国家開発計画2019-2024」では、同計画を跨る3本の横断軸の一つ「持続可能な地域開発」の中で、「全ての政策において、気候変動に対し脆弱な地域・国民に対し配慮し、強靭化や災害リスク減少のための能力強化を考慮するべきである」と謳っている。また、同計画の目標1.9として「安全且つ強靭化した国の持続可能な建設」を掲げ、SDGsや「仙台防災枠組2015-2030」等の国際枠組とも協調しながら、増加傾向にある災害リスクに対処するべく、強靭化した社会建設に向け、積極的に取り組む姿勢を取っている。同計画によれば、メキシコ市を含む全国32州、2,473市のうち、1,385市(56%)が災害リスクの高い地域とされ、同地域には約2,700万人の国民が生活しており、メキシコ政府は、これらハイリスク地域を中心に、全国的なリスクアトラス(Atlas Nacional de Riesgos(注)にまとめるなどして、地方防災計画の策定・実施に取り組んでいくことを活動指標としている。
係る状況を受けて、地方自治体レベルでの防災計画を策定し、災害リスク軽減を目的とした防災の事前投資を推進していくために、治安・市民保護省国家市民保護調整局(CNPC)や、メキシコ国立防災センター(CENAPRED)、モデル州の自治体(地方防災計画策定パイロットプロジェクトサイト)等の能力及び連携の強化を図ることを目的として、本プロジェクトが要請された。

メキシコ全土の全てのハザード種についてまとめ、リスク情報についても示している。

目標

上位目標

メキシコでの地方防災計画を通じた防災への事前投資が促進される。

プロジェクト目標

メキシコ国パイロット地域自治体が、中央防災機関、洪水災害・地震災害対策省庁、地方政府の役割を明確化した具体的なリスク削減の対策事業案を含む地方防災計画案を策定し、その策定手法が研修コースとして纏められる。

成果

1.一次パイロット地域において、地方防災計画策定にむけた目標・手法・計画等が整理され実施体制が整えられる。
2.一次パイロット地域において、地震及び洪水リスク削減の対策事業案を含んだ地方防災計画(案)が策定される。
3.地方防災計画実施のためのモニタリング評価案が作成される。
4.一次パイロット地域自治体での地方防災計画策定プロセスをもとにした研修プログラムが立案される。

活動

1-1.地方防災計画策定手法の概要について研修(1回目)を開催する。
1-2.メキシコ国内の地方自治体(州・市)における地方防災計画についての策定状況について情報収集、整理し互いに共有する。
1-3.活動1-2で整理された情報をもとに、メキシコ国内の地方防災計画についての課題を整理し、地方防災計画策定に必要な関係組織とその役割を整理し明確にする。
1-4.活動1-3の関係者も含めて、地方防災計画策定に向けた活動計画案または工程(ロードマップ)案を作成する。

2-1.地方防災計画策定手法の詳細について研修(2回目)を開催する。
2-2.一次パイロット地域(州・市)のハザード、リスク評価情報を収集し整理する。
2-3.一次パイロット地域に関連する連邦・州の災害リスク削減の対策事業(中長期・構造物)を洪水災害・地震災害対策省庁と収集し、収集された事業の優先順位も分析し整理する。
2-4.2-2、2-3の情報を精査し、残余リスクを明らかにする。
2-5.一次パイロット地域内の対策を精査し、優先順位付け、整理する。
2-6.2-5の結果をもとに、予算、工程を精査し、一次パイロット地域(州・市)における最優先の災害リスク削減事業(構造物)案を作成する。
2-7.地方防災計画策定手法の詳細について研修(3回目)を開催し、2-5、2-6の結果を一次パイロット地域の地方防災計画案としてまとめる。

3-1.地方防災計画策定手法の詳細について研修(4回目)を開催する。
3-2.一次パイロット地域の地方防災計画案について、実施におけるモニタリング評価案を作成する。

4-1.二次パイロット地域を選定する。
4-2.地方防災計画策定手法の詳細について研修(5回目)を開催する。
4-3.地方防災計画策定手法の展開のための技術支援チームまたは講師人材を決定する。
4-4.一次パイロット地域(州・市)の関係機関や自治体と調整し、地方防災計画策定研修プログラム案を立案する。
4-5.地方防災計画策定手法研修実施計画を作成する。
4-6.地方防災計画策定手法及び研修紹介を目的とした全国フォーラムを開催する。
4-7.二次パイロット地域への研修を実施する。

投入

日本側投入

1.専門家(業務調整専門家1名(36M/M)及び短期専門家(3名X3年/地方防災計画策定・日本の事前防災投資の経験、地震災害リスク対策、洪水対策)
2.機材供与:特になし
3.本邦研修:3回(1.地方防災計画策定の8ステップ手法と国及び地方の防災政策、2.地震及び洪水ハザードの評価、3.構造物対策を通じた防災)

相手国側投入

1.カウンターパートの配置
2.案件実施のためのサービスや施設、現地経費の提供