プロジェクト活動

プロジェクト概要

省と市と協力してマスタープランの実施と都市開発をめざす

ウランバートル市、建設・都市開発省および経済開発省からの要請に基づき、JICAは2つのサブプロジェクトから構成される「ウランバートル市マスタープラン計画・実施能力改善プロジェクト」を実施することにしました。サブプロジェクト1は、「ウランバートル市マスタープラン実施計画策定能力向上プロジェクト」として、2015−2016年の2年間を通じて首都ウランバートル市のマスタープランの実現に向けてサポートを行います。サブプロジェクト2は、「モンゴル国都市開発実施能力向上」(通称MUGCUP2)として、2015−2018年の4年間を通じて都市開発法関連の法整備や再開発事業の実施促進を行います。

サブプロジェクト1(ウランバートル市マスタープラン実施計画策定能力向上プロジェクト)の背景

都市開発マスタープランの策定

モンゴルは1992年に社会主義体制が崩壊して以降、市場経済化が進展し、都市の形成に大きな変化がもたらされています。特に、首都であるウランバートル市は1944年に約3万人であった人口が、1998年に65万人、2006年には公称89万人、実際には100万人以上とも言われ、2000年〜2006年で年平均3.8%の割合で極めて急激に人口が増加してきています。このため、首都圏では人口の急激な増加に対して、道路や都市インフラの整備が追いつかない状況となっていました。
このような状況から、モンゴル政府は都市の将来像や各セクターの開発計画の策定を目指した「ウランバートル市都市計画マスタープラン・都市計画プログラム」をJICAに要請し、同要請に基づき、JICAはウランバートル市の都市開発マスタープランの策定を支援しました。その結果、「UB市マスタープラン2020および開発トレンド2030」として、2013年2月に国会承認を得ることができました。

マスタープランの実施促進

マスタープランが正式に承認された後、ウランバートル市は同マスタープランの実現性の向上を図るため、「ウランバートル市MP2020実施計画2014−2017」を作成しました。しかし、同計画は財務的な裏付けを踏まえた事業の積み上げとなっていなかったことから、内閣の承認を得られていない状況でした。
かかる背景のもと、モンゴル政府はセクター別の計画目標や、優先課題、適切な財務計画などの根拠を持った実施計画の作成を目指した「ウランバートル市マスタープラン実施計画策定能力向上プロジェクト」をJICAに要請しました。その後、2014年9月より、本サブプロジェクトが開始されました。

札幌市との連携

「ウランバートル市マスタープラン実施計画策定能力向上プロジェクト」は、ウランバートル市と類似した気候風土を持つ札幌市と連携し、札幌市における類似計画の策定手法を紹介しつつ、モンゴル政府側のオーナーシップを生かしながらプロジェクトを実施します。

サブプロジェクト2(モンゴル国都市開発実施能力向上)の背景

人口増加に伴い広がるゲル地区

モンゴルでは近年、地方から首都ウランバートルに人々が流入し、都市人口が急速に増えています。地方からの移住者の多くは、市街地周辺に移動式住居(ゲル)を建てるため、都市が無秩序に拡大するという問題が起きています。地方からの移住者の多くは道路や上下水道などの都市基盤施設が整備されていないゲル地区と呼ばれる住宅地に居住し、同市の人口の約6割がこの地区に住んでいると考えられています。−25度まで気温が下がるモンゴルの冬には暖房器具の使用が不可欠であり、ゲル地区では主に石炭ストーブを利用していますが、排煙による大気汚染、さらには汚水が処理されないままに排水されることが原因となっている土壌や水質汚染も問題となっています。

ゲル地区再開発事業の実施のために

このような状況を改善し、ゲル地区の再開発を促すため、モンゴル政府はJICAに支援を要請し、2010年から2013年にかけて「都市開発実施能力プロジェクト(MUGCUP1)」を実施しました。その成果として都市再開発法案が作成され、2015年6月26日に国会で承認されました。ウランバートル市では、この法案と、国会の承認を得た都市開発の指針となる「ウランバートル市マスタープラン2020及び開発トレンド2030」をもとに、独自の規則を制定して再開発事業の実施を進めています。しかし、制度整備が不十分であるため、事業の実施に当たって様々な課題を抱えています。そのため、MUGCUP2では、以下の3つの事業を中心に取り組みます。

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上記の活動を、省と市と協力して取り組み、ゲル地区を再開発するための都市再開発の実施能力の向上を目指します。