小児一次救命処置(Pediatric Basic Life Support:PBLS)研修をモデル県で実施しました!

2017年9月11日

2017年9月7、8日とモデル県であるオルホン県、ボルガン県にてPBLS研修を実施しました。今回は、2017年1月に実施した本研修に参加し、指導者(インストラクター)として育成されたモンゴルの医師たちが、研修を行いました。

9月7日、ボルガン県Khutag-Ondor村で行われた研修では、前日にボルガン県の医療施設に供与された資機材(マネキンなど)が使用されました。研修には近隣の8か所の村のクリニックから、合計33名の医療従事者(医師9名、看護師17名を含む)が参加しました(図1)。ボルガン県病院に勤務するAmartuvshin医師(麻酔科)、Tumenjargal医師(小児科)をインストラクターとして研修が行われました(図2)が、彼らは過去約8か月間に、ボルガン県内の16か所の村の約200名の医療従事者に対してPBLS研修を実施してきていました。そのためか自信を持って指導しており(図3)、内容も重要なものは漏らさずに自分たちの工夫を加えていました。受講生の満足度は平均4.9(5点満点)と非常に高くなっていました。

9月8日には、オルホン県診断治療センター(RDTC)にてPBLS研修を実施しました。研修には10名(医師8名、看護師2名)が参加しました(図4)が、参加者のなかにはクリニックに勤務する家庭医も2名参加していました。ここでも同センターに供与された資機材を用い、同センターの小児科医であるOrgilbaatar医師、Nomin医師の指導により研修が行われました(図5)。研修終了後、参加者たちからは「学んだことを活かし、子どもたちの医療に貢献したい」と前向きなコメントが聞かれました。

この研修は、現井上 CAが短期専門家として派遣されていた時に実施したものですが、当初の計画通り、上位レベルの医療施設に勤務する医療者が中心になり、下位レベルの医療施設に勤務する医療者たちに普及させていっていることが確認できました。何よりも、指導する医師たちの自信になり、能力開発につながっていることが伝わってきました。今回供与された資機材を用い、さらに地方の医療レベルの向上につながる研修が実施されていくことが期待されます。

モンゴル国一次及び二次レベル医療従事者のための卒後研修強化プロジェクト チーフアドバイザー 井上信明

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図1.Khutag-Ondor村で行われたPBLS研修参加者

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図2.Amartuvshin医師(左)とTumenjargal医師(右)

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図3.Khutag-Ondor村でのPBLS研修の指導風景

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図4.オルホン県RDTCで行われたPBLS研修の参加者。前列の白衣の2名がOrgilbaatar医師(右)とNomin医師(中央)

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図5.オルホン県RDTCでのPBLS研修の指導風景