バイオマス及び土壌の本調査を実施

2019年11月5日

2019年8~9月に、国家温室効果ガスインベントリシステム構築及び能力強化プロジェクトの活動の一環として、モンゴル国内においてバイオマス及び土壌調査が実施されました。

本プロジェクトの主なアウトプットの一つは、LULUCF分野の能力強化及び温室効果ガス(GHG)インベントリの改善です。特に、モンゴルでは、草地面積が多いにも関わらず草地由来のGHG排出/吸収量が算定されていないため、草地由来のGHG算定方法の改善が最優先課題となっています。

草地由来のGHGの算定方法の開発の第一ステップとして、草地に関してどのような情報・データが現段階で得られており、算定方法の開発に必要な情報・データと現在得られている情報・データとのギャップはどの程度かを把握する必要があります。そこで、本プロジェクトでは、この第一ステップとして2019年4月まで文献調査を実施しました。文献調査及びモンゴル国内の専門家との議論の結果、土壌炭素ストック(SOC)や地上部地下部バイオマス比率(AGB)に関するより多くの情報・データが算定方法の開発のために必要であることが分かり、第二ステップとして土壌及びバイオマスデータを入手するためのフィールド調査が実施されることとなりました。第二ステップの一環として、バイオマス及び土壌のプレ調査が2019年6月に実施され、プレ調査結果に基づき、「改善ガイダンス」を修正しました。

バイオマス調査は、2019年8月13日から9月7日(2日間の休みを含む)にモンゴル国内で実施されました。調査チームはモンゴル側・JICA側の10名以上で構成され、調査チームはSelenge県Shaamarソゥムからウランバートルを経て、Dornogobi県Ulaanbadrakhソゥムまで車で移動し、調査中は主に簡易テントに泊まりながら、「修正版改善ガイダンス」に従い約200のバイオマスサンプルを採取しました。調査チームは今回の調査で採取したサンプルを使い地上部地下部バイオマス比率の分析を行っており、2019年11月末までに完了する予定です。
土壌調査は、2019年9月1日から9月16日にKhentii県、Sukhbaatar,県、及びDornogovi県で実施し、「修正版改善ガイダンス」に従い、200以上の土壌サンプルを採取しました。調査チームは2019年11月までに土壌炭素ストックの分析を完了する予定です。

JICAは上記のバイオマス・土壌の分析結果を基に、草地由来のGHG算定方法の改善方法をモンゴル国内専門家とともに検討する予定です。その後、第3回LULICFワーキンググループが2020年春に開催され、草地由来のGHG排出量算定方法の改善方法や必要な追加調査について議論する予定です。同ワーキンググループでの議論の結果を踏まえ、2020年夏に追加調査を実施予定です。草地由来のGHG排出量算定方法は、文献調査結果及び2019年・2020年に実施(予定)の調査結果に基づき改善予定であり、これはモンゴルのGHGインベントリの改善に貢献します。

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バイオマス調査の様子

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バイオマスサンプルの確認の様子

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土壌調査の様子

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調査フィールドにおける滞在の様子