モンゴル大学院生の挑戦 in 日本、始まる

2021年10月5日

本プロジェクトより、モンゴル国立大学の大学院生2名が長期在外研究員として日本に旅立って3ヶ月が経ちました。新天地での挑戦の日々は、たくさんの刺激に溢れています。

最西端バヤンウルギー県出身のS. Nurbyekさん(23歳)は東北医科薬科大学薬学研究科に在籍。「科学に興味があってモンゴル国立大学に進学しました。そこでモンゴル語を勉強して、植物学を専攻して…」と流暢なモンゴル語で話すNurbyekさんの母語はカザフ語です。独自文化を持つ誇り高きカザフ族ですが、COVID19の影響で故郷の家族に会えぬままの出発となりました。
現在、Nurbyekさんは佐々木健郎教授、村田敏拓講師の下、兼ねてより研究してきたモンゴルの5種類の植物について、化学成分を分析し、有益な物質の発見を目指して取り組んでいます。東北医科薬科大学とモンゴル国立大学は元々学術交流が盛んで、来日後すぐに研究室に馴染めたと言うNurbyekさんですが、驚いたこともありました。「切れ目なくずっと研究活動が続けられているんです。朝8時から夜8時まで研究に没頭できる環境は本当にありがたい。」と喜びを隠しません。「自発的にチャレンジする強みと可能性を持った学生。」と村田先生も期待を込めます。
将来の夢を尋ねると、「ここで学べる全てを吸収して持ち帰りたい。そして、1人の自立した研究者として生きていきたい。」と、力強い答え。決意に満ちたその目に、モンゴル科学分野の未来が明るく照らされているようでした。

京都大学大学院生命科学研究科のG.Namuunaaさん(23歳)は、東部ヘンティー県出身。父親は長距離バス運転手という家庭で育ち、幼い頃から生物に強い関心があったと言います。
これまで、ゴビ砂漠の植物の遺伝子研究、モンゴルの植物を活用したマウスウォッシュ開発など、実践的な研究を続けてきました。現在は、本プロジェクトの研究対象植物:クロリスの持つ乾燥ストレス耐性能力発現の分子メカニズムについて、中野雄司教授の下、研究に励んでいます。
「一番驚いたのは、先輩や同僚の研究テーマ。壮大なテーマに単独で果敢に挑む大学院生が多いことにとても刺激を受けています。」日本語勉強中のNamuunaaさんは、研究室の仲間たちと英語も交えてコミュニケーションをとっています。時に言葉の壁を感じることはあっても、全力で研究に取り組む姿勢や親身に接してくれる優しさに、胸が熱くなることもあると言います。
「研究者としての道を極めて、いつか大学で教鞭を執りたい。学んだことを、未来の子どもたちに伝えたい。」と、Namuunaaさん。日本留学経験のある多くの先輩研究者らと同じく、モンゴルの次世代に襷をつなぐことをすでに見据えています。

2人が果たす役割は、両国の研究発展だけに止まりません。プロジェクト開始前から育まれてきた両国の関係が、2人をとおしてより深まることも期待されています。
始まったばかりの3年間。
両国の研究者、仲間たち、そして故郷の家族から惜しみないエールが送られています。

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中野教授、仲間たちと笑顔で

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京大研究室のNamuunaaさん

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左からNurbyekさん、佐々木教授、村田講師

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東北医科薬科大学校舎を背に