3年ぶりに草原へ!日モ研究者による合同プロジェクトサイト視察

2022年11月2日

コロナ禍に始まり混沌とした世界情勢に阻まれ、実現困難となっていた日本人研究者のモンゴル渡航。2022年10月1日・2日、両国研究者による3年ぶりのプロジェクトサイト合同視察が実現しました。

初日訪問先はKhustai国立公園。ここはモンゴル生命科学大学・Center for Ecosystem Studies(J.Undarmaa教授)と東京大学(大黒俊哉教授)のチームが協力し、研究対象植物の試験栽培をしているサイトです。

CES研究チームは全員女性。家畜侵入を防ぐ牧柵で囲まれた草原の試験圃場で、吹き荒ぶ風、厳しい直射日光に晒されながら、たくましくも手作業で播種から栽培を行なってきました。発芽後も野ネズミや雑草から植物を守るべく防除作業を続け、地道な観察・測定をしています。その甲斐あって順調な生育を遂げているクロリス等の植物を前に、日本人研究者からは称賛の声が上がりました。

大黒教授は今夏だけで実に3度目のサイト訪問。コロナ禍によって失われた時間を取り戻すべく、モンゴルの短い夏に全精力を注いでフィールドワークに没頭しました。本サイト担当2機関はこれまでもオンラインで密に連絡を取り合い、的確な情報交換をしてきました。今後往来が活発になることで、更なる研究促進が期待されます。

2日目はArukhust soumを訪問。一足先に現地入りしていたモンゴル国立大学J.Batkhuu教授より「視界が遮られるほどの雪」という連絡を受け、一時中止も検討されましたが、慎重な判断の下、現地へ向けて出発しました。

Batkhuu教授は本サイトに住民票を置き、現地に溶け込んで研究活動を行なっています。そのため、Soum役場や住民の理解を得て、サイト内5ヶ所の牧柵設置が完了していました。一行は異なる条件下の3つの牧柵を巡った後、サイト圃場に移動し、栽培中の植物や育苗ハウスの視察を行いました。凍てつく寒さの中、日本人研究者は時間をかけて丹念に見て周り、モンゴル人研究者とたくさんの意見交換を行いました。

その後、モンゴル国立大学チームが用意したホルホグという羊一頭の蒸し焼き料理を全員で囲みました。最大級のモンゴル流おもてなしです。京都大学・中野雄司教授が率先して場を盛り上げる中、両国研究者は冗談を言って笑い合い、時に真剣な表情で思いを語り、温かな時間が流れていきました。「これほど和やかな共同研究チームは本当に貴重」という東北医科薬科大学・佐々木健郎教授の言葉どおり、両国研究者はしばしの別れを惜しみ合い、全ミッションを完遂させた日本人研究者5名は、無事に帰国の途につきました。

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Khustaiの草原で記念撮影

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Khustai試験圃場の視察

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Khustai付近の砂丘調査

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Arkhust soum内視察

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Arkhust試験圃場の視察

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Arkhust試験圃場の視察