総合診療研修プログラムとしての再承認に向けた評価が行われました

2023年5月15日

2023年5月15日、保健開発センターの担当官等により、オルホン県地域診断治療センター(regional diagnostic and treatment center: RDTC)において行われている総合診療研修プログラムの評価が行われました。

オルホン県では、2018年にモンゴルで初めてとなる総合診療研修が開始されており、これまで18名の研修医がオルホン県RDTCで学んでいます。研修が開始されて5年が経過したこともあり、研修病院として再承認を受けるための評価が実施されました。

評価には、保健開発センターの担当官であるDavakhuu氏、Dondogmaa氏、及び5月8日に実施された卒後研修プログラム評価者育成研修を受講した、日本モンゴル病院の教育プログラム責任者であるBattgtokh氏も参加しました。

まずオルホン県RDTCの教育責任者であるBatskuh副院長から、これまでの研修を総括するプレゼンテーションがありました(写真1)。新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、一時期研修医が1名しか参加しない年もあったようですが、今年は5名の研修医を受け入れており、さらにはウランバートルの国立第3病院や日本モンゴル教育病院で実施されている総合診療研修の研修医たちが、両病院で不足している産婦人科研修を受けるため、2~4週間ほどオルホン県RDTCにローテーションしていることも説明されました。また卒業生の半数弱は地域に残って診療しており、現在専門研修を受けるためにウランバートルに行っている卒業生のなかにも、将来はオルホン県に戻ってくる意思を表明している方達がいるとのことでした。

その後、研修の様子を見てもらうことを目的に、研修医たちが普段行っている勉強会を実施しました。今回は、特に気になるテーマを深く掘り下げるために論文を読み、その内容をまとめて発表するジャーナルクラブが行われました。研修医は、発表前にテーマや論文の選び方なども含め、指導医から複数回の指導を受けたとのことです。まだ発表の仕方には改善の余地はあるものの、学ぶ必要があると感じたことをしっかりと調べ、日々の診療に役立てることは、総合診療医の獲得すべき能力のひとつでもあります。

最後には、評価者がこれまでの研修記録等をレビューし(写真2)、研修プログラムの再承認に向けた評価は終了しました。今後、評価者間で評価した内容を改めて確認し、改善すべき点があればオルホン県RDTCに対して提言がなされる予定です。

オルホン県RDTCを訪問し、研修の内容を見せていただくのは3年ぶりになります。しかし以前と全く変わらない、熱心でかつ丁寧な研修医指導が行われていることに、改めて感銘を受けました。プロジェクトでは、この研修プログラムを、質を維持した形で全国に展開する支援をしています。オルホン県RDTCの先生たち、保健省・保健開発センターの担当者とも連携し、プロジェクト活動をさらに進めていきたいと考えています。

モンゴル国 医師及び看護師の卒後研修強化プロジェクト
チーフアドバイザー 井上信明

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写真1 Batskuh副院長によるプレゼンテーション

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写真2 これまでの研修内容のレビュー