総合診療研修開始に向けた支援が行われました

2023年5月16日

2023年5月16日、ボルガン県を訪問し、保健開発センターの担当官等による総合診療研修開始に向けた支援が行われました。

ボルガン県は、プロジェクトが支援して総合診療研修が開始されたオルホン県RDTCから車で40分ほどの距離にあります。プロジェクトでは、ボルガン県病院もモデルサイトとしており、ボルガン県病院で総合診療研修が開始されるよう、技術的な支援を行っています。

今回は、保健開発センターの担当官であるDavakhuu氏、Dondogmaa氏、そしてすでに総合診療研修を開始している日本モンゴル病院の教育プログラム責任者であるBattgtokh氏とともに訪問しました。

病院ではByambasuren院長、Tumenjargal人事部長から、総合診療研修開始に向けた準備状況が説明されました(写真1)。そのなかで、指導医となりうる人材が不足していること、また研修医を受け入れるための住居等の設備面での準備も十分ではないことが説明されました。

ただ話をよく聞くと、確かに病院内では産婦人科などの特定の診療科の指導医候補がいないことは事実ですが、県内の地域の医療施設には指導医となる要件を満たし、経験も豊富な産婦人科医がいることが判明しました。そこで、日本モンゴル病院や国立第3病院ではそもそも産婦人科がないため、オルホン県RDTC と契約を結び、研修医がオルホン県RDTCで学んでいることを紹介し、県病院単独で研修を行うことを目指しつつ、県内の有能な人材を活用し、県全体で研修に取り組むことを提案しました。

またAriun-Erdeneボルガン県知事、Oyuntesteg保健局長を訪問し、県として総合診療研修の支援をしていただけるよう、この研修の目的、そしてオルホン県RDTCにおける総合診療研修の成果などを説明しました。なかでもAriun-Erdene県知事は柔道家であり、日本への訪問歴が何度もあり、現在も御子息が日本に留学中とのことでした。私たちの説明に丁寧に耳を傾けてくださり、「保健分野の発展、その人材育成は、ボルガン県における重要な課題のひとつである。日本で行われている臨床研修をモデルに開発された総合診療研修が、ボルガン県でも実施できるよう県として全力で支援したい」とおっしゃってくださいました(写真2)。

現実的に、ボルガン県病院で総合診療研修を開始するためには、まだ解決しないといけない課題が残されています。私たちは技術協力プロジェクトとして、今後も指導医の育成とその能力強化、院内の研修管理体制の整備などの支援を続けていきます。また病院が設備面での整備に必要な資金の支援も得られるよう、可能な範囲での協力をしたいと考えています。

モンゴル国 医師及び看護師の卒後研修強化プロジェクト
チーフアドバイザー 井上信明

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写真1 ボルガン県病院における準備状況の説明を受ける

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写真2 Ariun-Erdeneボルガン県知事と(右から4人目が県知事)