プロジェクト概要

プロジェクト名

(和)障害児のための教育改善プロジェクトフェーズ2(START2)
(英)The Project for Strengthening Teachers' Ability and Reasonable Treatments for Children with Disabilities (START) Phase 2

対象国名

モンゴル

署名日(実施合意)

2020年4月7日

プロジェクトサイト

モンゴル全土

協力期間

2020年9月4日から2024年1月31日

相手国機関名

(和)教育科学省、労働・社会保障省
(英)Ministry of Education and Culture, Minister of Labor and Social Protection

背景

モンゴルは2009年に「障害者の権利に関する条約」へ加入後、関連する国内法を整備し、障害者基本計画にあたる「障害者の権利、参加、発達支援に関する国家プログラム」を策定するなど、障害児・者の社会参加の保障に取り組んでいる。しかし現実には、障害があっても必要な発達支援が受けられないこと、幼稚園や学校の受け入れ態勢が整っていないことなどから、就学している障害児は約40%と言われている(注1)。また、就学しても障害の種類や程度、個々の発達段階等に応じた教育を受けることができず、幼稚園や学校に通い続けることが難しくなるケースも少なくない。

障害児に対する診断・発達支援・教育のモデルを構築することを目的に、JICAは2015年より「障害児のための教育改善プロジェクト」(以下、前フェーズ)を実施した。同プロジェクトでは、障害を認定し支援サービスを検討する障害児の保健・教育・社会保障支部委員会(注2)(以下、支部委員会)の能力強化、障害の早期発見・発達支援のためのツール開発、1歳6ヵ月児健診の導入、障害児とその家族を支援する「親子教室」の試行を行った。また、通常学校において障害児への支援体制を検討する「校内委員会」の設置、支援が必要な子どもに配慮した授業・学校運営、「個別教育計画」の活用、学習環境や教材の整備を行った。

これらの取り組みから、「障害児のための包括的な発達支援ハンドブック」(以下、ハンドブック)がとりまとめられるとともに、その指針がガイドライン(以下、ガイドライン)として、2018年11月15日付労働社会保障大臣・教育文化科学スポーツ大臣・保健大臣合同令により承認された。

残る課題は、ハンドブックで示された発達支援・教育サービスを、広大な国土と首都に人口が集中した地理的特性を踏まえ、いかにモンゴル全土で実現するかである。また、前フェーズでは協力の対象外であった幼稚園における発達支援・教育サービスのモデル構築にも取り組む必要がある。

(注1)「障害者の権利、参加、発達支援に関する国家プログラム」(モンゴル政府令321号)
(注2)9区21県に設置された非常設委員会。委員長は区/県社会開発課課長。医師、教育行政官、教員、ソーシャルワーカー、福祉行政担当者で構成される。

目標

上位目標

すべての障害児がニーズに合った発達支援・教育サービス(注3)を受けられる。

(注3)「障害児のための包括的な発達支援ガイドライン」(2018年11月15日付社会保障大臣・教育大臣・保健大臣合同令)及び同ハンドブック(2019年プロジェクト成果品)に規定されている、幼稚園・小学校・中学校における障害児及びその関係者や関係機関に有用な各種の取り組み」と定義する。

プロジェクト目標

2~16歳の障害児のための発達支援・教育サービスがモンゴル全土に普及する。

成果

成果1.全国の支部委員会の教育担当の能力が強化される。
成果2.全国の幼稚園における障害児のための発達支援・教育サービス提供に向けた実施基盤(制度、計画、人材等)が整備される。
成果3.全国の小学校・中学校における障害児のための発達支援・教育サービス提供に向けた実施基盤(制度、計画、人材等)が整備される。
成果4.幼稚園・小学校・中学校の教員が障害児の発達支援・教育サービスに関する現職教員研修(オンライン研修・直接研修)を修了する。

活動

活動1-1.全国の支部委員会の教育活動及び教育担当官に係る現状を把握する。
活動1-2.全国の支部委員会の教育担当官に対する研修計画を策定する。
活動1-3.1-2に沿って研修を実施する。
活動1-4.モニタリングを通じて教育担当官の活動へのフォローアップを行う。

活動2-1.幼稚園に係る現状調査(サンプル調査)を行う。
活動2-2.2-1の結果に基づき、パイロット校を選定する。
活動2-3.ガイドライン/ハンドブックに基づいて、パイロット校において幼稚園における発達支援・教育サービスを試行する。
活動2-4.2-3の結果に基づいてハンドブックを改訂する。
活動2-5.幼稚園における発達支援・教育サービスの実施を目的として、県及び区のインクルーシブ教育担当官向けの研修計画を策定する。
活動2-6.2-5の研修計画に基づき、研修を実施する。
活動2-7.各県及び区の幼稚園における発達支援・教育サービスの普及活動を支援(計画策定支援・実施モニタリング)する(実施モニタリングはUB市内のみ)

活動3-1.小学校・中学校におけるガイドライン/ハンドブックの活用状況調査(サンプル調査)と関連機関・ドナー等の既存の取り組みの分析を行う。
活動3-2.3-1の結果を基に、必要に応じてハンドブックを改訂する。
活動3-3.小学校・中学校における発達支援・教育サービスの実施を目的として、県及び区のインクルーシブ教育担当官向けの研修計画を策定する。
活動3-4.3-3の研修計画に基づき、研修を実施する。
活動3-5.県及び区の小学校・中学校における発達支援・教育サービスの普及活動を支援(計画策定支援・実施モニタリング)する。(実施モニタリングはUB市 内のみ)

活動4-1.既存の現職教員研修のカリキュラム・プログラム・教材等を分析する。
活動4-2.4-1に基づき幼稚園・小学校・中学校の教員を対象とした発達支援・教育サービスに係る現職教員研修計画(オンライン研修・直接研修)を改善する。
活動4-3.必要に応じて現職教員研修用の教材を改善する。
活動4-4.現職教員研修を実施する。

投入

日本側投入

1.専門家派遣
・インクルーシブ教育政策
・インクルーシブ教育(就学前)
・インクルーシブ教育(初中等)
・教員研修/ICT
2.プロジェクトオフィスの資機材
3.研修実施の会場費
4.UB市内のモニタリング実施費用
5.プロジェクトで作成された成果物サンプルの印刷・配布費用

相手国側投入

1.カウンターパートの配置
・プロジェクトダイレクター
・副プロジェクトダイレクター
・教育文化省職員及び21県の教育文化局・9区教育課の職員
・教員研修所職員及び教育研究所の特別ニーズ教育サポートセンターの職員
2.水道代・電気代込みのプロジェクトオフィスの提供
3.カウンターパートの給料、謝礼、旅費等
4.カウンターパート及び教員向けの研修に係る費用
5.プロジェクトにより作成され、モンゴル国政府に承認を得た成果物の印刷および配布
6.地方のモニタリングに係る費用